EXHIBITIONS

デヴィエーション・ゲーム展 ver1.0 ー模倣から逸脱へ

シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]
2023.03.04 - 03.21

展示写真

ワークショップの様子

ワークショップの様子

 シビック・クリエイティブ・ベース東京で、「デヴィエーションゲーム展」が開催されている。

 本展は、シビッククリエイティブの拠点(CCBT)の初代アー ティスト・フェローのTomo Kihara + Playfoolによるプロジェクト。コンピューター科学の父と呼ばれる、アラン・ チューリングのイミテーションゲーム(1950)を参照し、AIを使って何かを生成するのではなく、とある表現が過去に存在したかどうかをAIに識別させることで、過去から逸脱した表現の可能性をゲームを通して示している。

 Tomo Kiharaは慶應義塾大学環境情報学部卒業後、オランダのデルフト工科大学院のインタラクションデザイン科を修了。その後、アムステルダムに拠点を置く研究機関Waag Futurelabに参加し、人工知能が社会に与える影響についての研究に携わる。「思索のための玩具」をテーマに、社会に新しい視点をもたらすゲームや実験的ソフトウェアの開発を行っている。主な展覧会は、「Future In-sight - Future Collider」(21-21 DESIGN SIGHT、2022) 、「Future Starts here - phonvert」(Victoria & Albert Museum・ロンドン、2018)など。

 Playfoolは、Daniel CoppenとSaki Coppenによる実験的なデザインスタジオ。東京とロンドンを拠点に活動している。ともにRoyal College of Artを修了し、以来 「あそび」をテーマに、デザインとエンジニアリングを通して、年齢問わず体験者の創造性を育む道具としてのプロダクトを生み出している。近年は、あそびは全員のものであるという信念のもとYouTube上でも精力的に作品動画を発表している。主な展覧会は、「From the forest: Forest Crayons」(Victoria and Albert Museum・ロンドン、2022)など。

 会場で遊べるゲームにおいては、AIがこれまで見たことがないものを描く行為が人間側に求められる。ゲームやワークショップを通じた参加者によるデータの蓄積は、展覧会の作品群へと反映されていく。AIと人との競争・共創関係を通して、これからの創作表現の進むべき道を探る展示に注目してほしい。