甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性

　京都国立近代美術館で、開館60周年記念展「甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性」が開催される。

　甲斐荘楠音（1894〜1978）は、大正から昭和にかけて京都で活躍した日本画家。美醜を併せ吞んだ人間の生を描いて注目を集めたのち、映画界へ転身。その後は、風俗考証などの活躍が多く、その画業が充分に顧みられない時期が続いていた。

　1997年に同館で開催された「甲斐庄楠音展」は、甲斐荘の画業について再評価を促すものだった。それから25年の月日を経て開催される本展では、日本画家の枠に収まりきらない甲斐荘の「越境性」に焦点を当てるという。

　会場は序章「描く人」、第1章「こだわる人」、第2章「演じる人」、第3章「越境する人」、終章「数奇な人」で構成され、絵画・写真・映像・映画衣装・スクラップブック・ポスター・写生帖など多様な資料を展示。「複雑かつ多面的な個性を持つ表現者」として甲斐庄の評価を促す試みとなっている。

　なお、本展は2023年7月1日〜8月27日の会期で東京ステーションギャラリーに巡回する。