髙木優希 個展「あかるいへや」

　ARTDYNEはアーツ千代田3331における移転前の最後の企画展として、髙木優希個展「あかるいへや」を開催する。

　髙木優希は東京藝術大学大学院美術研究科修士課程に在籍中の作家。制作においては、実在する光景を他人から画像で受け取り、それを見ながらマケットを構築、様々な光をあてながら写真に切り取った後、油彩画に起こすという複雑な工程をとっている。

　今回の展覧会タイトルは、ロラン・バルト『明るい部屋』からの引用。これは、髙木の作品がバルトの言う写真の特徴的な性質の「怖さ」と「イメージ」を有しており、写真の本質を表す「それは、かつて、あった」という一文が髙木の作品の本質そのものでもあることが理由だという。

　真実でもあり虚偽でもあるという二面性を持ち、さらに目に見えない不穏な気配、また時間や空間の実在への問いを織り込む髙木の作品を展示する本展。何が虚構で何が現実なのか見定めようとすればするほど迷路に入り込む現代社会において、絵画の役割を今一度見直す展示となるだろう。