EXHIBITIONS

大橋英児 個展「Roadside Lights」

Akio Nagasawa Gallery Aoyama
2023.02.03 - 03.11
 Akio Nagasawa Gallery Aoyamaで、大橋英児個展「Roadside Lights」が開催される。

 大橋英児は1955年北海道生まれ。生まれ育った北辺の体験から冬などの厳しい環境下での荒涼美に魅せられ、20代後半よりヒマラヤ周辺の国々を訪れてきた。昨年にはカナダのケベックでも展示を行っている。

 本展では、2008年より開始したプロジェクト「Roadside Lights」の新作が展示される。会場には、日本ではありふれた“自販機のある風景”にスポットをあて全国各地で撮影された写真が集まる。その多くは冬の風景であるということに、大橋の作家性が感じられるだろう。

 作家は本展に寄せて以下のように語っている。

「14年前の吹雪の夜に車を走らせていた。ホワイトアウトで自分のいる場所さえわからなくなっていた時、いつも見慣れた自販機の明かりで何処にいるのかを知るという経験をした。それ以来、自販機は私にとって特別な存在となり、世の中を見る窓となった。

 路上にぽつんと佇む自販機の姿は孤独である。しかしこの景色は日本では当たり前で誰も気に留めることは無い、そんな自販機の姿に私は現代人を重ね合わせた。自販機たちは雨の日も雪の日もたたずみ、ひたすらお客さんを待ち続けている。その姿は、私の心につきささり、それは過去の失われた記憶の断片を可視化して行く。

 さらに自販機の輝く姿からは、かつての自分の日々の営みを見るだけでは無く希望も見えてくる。自販機が指し示す光の先に、希望と未来をも感じ取ることが出来る。その時、自販機は“ジェフ・クーンズの掃除機”のような究極のモダンアートとなる。」