EXHIBITIONS

MADSAKI「ISLAND LOVE」

2022.10.28 - 11.26

キービジュアル

 Kaikai Kiki Galleryは、MADSAKIによる新作個展「Island Love」を開催する。

 MADSAKIは1974年大阪府生まれ。80年ニュージャージーへ渡米。96年にパーソンズスクールオブアート・ファインアーツを卒業後、2004年に帰国する。挑発的、風刺的なフレーズや、歴史上の名画を題材にしたシリーズを制作するほか、近年は私小説的でプライベートな絵画シリーズも展開。日本とアメリカにまたがる複雑なアイデンティティから生まれるテーマを、大胆なスプレーワークを通じて表現している。

 長年、自身をリセットするため、第2の故郷であるハワイ島に通うMADSAKI。しかしパンデミックにより2年あまり渡航できず、悶々とした日々を過ごし、また昨今の世界情勢に対して怒りにも似た気持ちを抱えていた。MADSAKIのそのような状況を見かねた妻がハワイ島への渡航を提案。都合により家族で渡航ができない状況下で、最初は一人きりでの渡航を躊躇したが、これまでハワイ島での時間を通して頭を空っぽにして充電し、リセットしたうえで帰国して制作を続けていたこと、そしてそれがいかにMADSAKIのメンタルにとって重要であったかをよく知る妻の強いすすめにより、久しぶりに単独でハワイ島に向かうことを決めた。

 MADSAKIは以前よりハワイ島をテーマに描く構想自体を、持ち続けていたが、パンデミックが発生し、旅行だけでなくそもそも自宅からも出づらい状況が続いたこのタイミングだからこそ、そのテーマで作品を制作できると初めて思えたという。3週間のハワイ島滞在後、スタジオがある東京に戻ったMADSAKIは、ハワイの友人宅にて滞在中に撮影したスナップショットを見返し、島でのシンプルな暮らしのなかのみずみずしい瞬間を切り取った写真を選んで、絵画制作に着手。そのようにして制作された作品群には、3週間の滞在でひたすら繰り返した、「庭仕事と海」というシンプルな日々のなかでの光景のみという、極めてパーソナルなスペースが描かれている。

 本展のタイトル「Island Love」は、ハワイの友人たちとの思い出がある、クラシックチューンThe Peter Moon Bandの楽曲からとったもの。今回の新作では、作家にとってかけがえのないハワイ島での瞬間、都会、そして家族からも離れて過ごした極めてプライベートな日々、そして旅行者が目にするのとはまったく異なる、作家の「ソウル」としてのハワイ島の姿が表現されている。