EXHIBITIONS

国立国際美術館 大阪中之島美術館 共同企画

すべて未知の世界へ ー GUTAI 分化と統合

山崎つる子 Work 1960 国立国際美術館蔵 出品=国立国際美術館

ヨシダミノル JUSTCURVE '67 Cosmoplastic 1967 高松市美術館蔵 出品=国立国際美術館

 国立国際美術館では、大阪中之島美術館との共同企画「すべて未知の世界へ ー GUTAI 分化と統合」を開催。具体美術協会(具体)が解散して50年の節⽬となる2022年、2館同時開催という類い稀な形式で開催される本展覧会は、「分化と統合」をテーマに掲げ、新しい具体像の構築を目指す。

 具体美術協会は、1954年、兵庫県の芦屋で結成された美術家集団。画家の吉原治良(1905〜72)を中核に据えた具体は、絵画をはじめとする多様な造形実践を通して、「われわれの精神が自由であるという証を具体的に提示」しようとした。吉原による指導のもと、会員たちがそれぞれの独創を模索した18 年の軌跡は、戦後日本美術のひとつの原点としていま国内外で注⽬されている。

 誰かのまねではなく、互いに異質であろうとしながら、あくまで⼀個の集団としてまとまろうとした具体。大阪中之島美術館と国立国際美術館、2会場によって構成される本展覧会は、具体の活動拠点である「グタイピナコテカ」が建設された地、大阪・中之島で開催される初の大規模展となる。

 国立国際美術館での展示は、具体を「統合」し、集団全体として模索の軌跡を追うもの。マクロな視点に立って具体の歩みを眺め、様々に展開される問いなおしの作業に、いくつかの傾向を見出そうとする。必ずしも⼀枚岩でない具体という集団の、内なる差異をあぶりだし、そのうえで「統合」してみせることが主な⽬的となる。

 出展作家は、今井祝雄、今中クミ子、上前智祐、浮田要三、大原紀美子、小野田實、金山明、菅野聖子、聴濤襄治、喜谷繁暉、木梨アイネ、坂本昌也、嶋本昭三、白髪一雄、白髪富士子、鷲見康夫、田井智、高﨑元尚、田中敦子、田中竜児、坪内晃幸、猶原通正、名坂千吉郎、名坂有子、堀尾昭子、堀尾貞治、前川強、正延正俊、松田豊、松谷武判、向井修二、村上三郎、元永定正、森内敬子、山崎つる子、吉田稔郎、ヨシダミノル、吉原治良、吉原通雄。

 いっぽう大阪中之島美術館では、具体を「分化」させ、個々の先駆性と独創性の内実を検証することを試みる。