EXHIBITIONS

梅津庸一「緑色の太陽とレンコン状の月」

梅津庸一 水玉劇場 2022 撮影=今村裕司
© Yoichi Umetsu Courtesy of the artist and Taka Ishii Gallery

梅津庸一 溶解、振動、目撃者 2019-2022 撮影=高橋健治
© Yoichi Umetsu Courtesy of the artist and Taka Ishii Gallery

 タカ・イシイギャラリーでは、美術家・梅津庸一による個展「緑色の太陽とレンコン状の月」が開催される。

 梅津は、「美術とはなにか」「人がものをつくるとはなにか」という根本的な問いについて、様々な角度から思考、実践してきた。日本における美術の受容史を身をもって体現した代表的な自画像シリーズや、パフォーマンスを記録した映像作品で知られるとともに、自身が主宰するアートコレクティブ「パープルーム」や非営利のギャラリーの運営、展覧会のキュレーション、テキストの執筆、そして2020年より新たに加わった陶作品の制作など、その活動領域は一層の多面性を見せている。

 昨年より、六古窯のひとつである信楽の製陶所を間借りして作陶を始めた梅津。明治時代から日本を下支えしてきた産業のひとつである「窯業」を起点に、現代美術における「ものづくり」について考察を深めている。今年7月には、信楽の複数会場にて「一人芸術祭」の様相を呈した「窯業と芸術」展を企画・開催し、作家による「やきもの」だけではなく、それを下支えするインフラにもスポットを当てた。

 また、梅津は現代美術で近年注目の高まる陶芸をたんなる「オーガニックなもの」や「手仕事への回帰」としてはとらえておらず、陶芸における柳宗悦や河井寛次郎らによる民藝運動と、梅津が考えているそれに付随する「オリエンタリズムの功罪」を積極的に見出すことで、一連の作品を編み上げている。

 タカ・イシイギャラリーでの初個展となる本展では、梅津が近年新たに制作に打ち込む陶作品を中心に、30点以上の大小様々なドローイングと、大塚オーミ陶業株式会社の協力のもと制作された陶板作品が並ぶ。