EXHIBITIONS

榎忠「Pumice」

2022.08.27 - 09.24

榎忠 新作参考図版

 半世紀にわたり後進作家にも多大な影響を与え続ける作家・榎忠。本展「Pumice(パミス)」は、ギャラリーノマルでは16年ぶりの新作発表となる。

 1944生まれの榎は現在、神戸市を拠点に活動。70年代から現在に至るまで、身体を使った型破りなパフォーマンスをはじめ、銃や大砲などの武器を題材とした作品の制作や、金属の廃材に新しい生命を吹き込み作品化するなど、ユニークで社会にインパクトを与える活動を行ってきた。その先見性と表現することへの誠実さ、作品を生み出す並外れたエネルギーは、驚き・感嘆とともに多くの人を魅了している。

 ギャラリーノマルでの個展は、2006年に「Everyday Life/Art」以来16年ぶり。前回の個展では、初の作品集『EVERYDAY LIFE/ART:ENOKI CHU』の出版記念展として、榎のそれまでの活動を総括する内容だったが、今回は「2022年現在の榎忠」を見せる完全新作展となる。

 2022年秋、榎が70年代当時使用していた戦闘機ドローイングの版をノマルのシルクスクリーン技術で復元したことから個展の計画がスタート。さらにその頃世間を賑わせていた、海底火山から噴出された軽石が日本各地の海岸へ漂着したという話題が榎のイマジネーションを掻き立て、「軽石(Pumice)」がモチーフのひとつとして決まった。

 本展では、ノマルとのコラボレーションで生まれた大量のシルクスクリーン版画が会場を埋め尽くし、78歳となる作家渾身の壮大な世界が展開される。榎は以下のステイトメントを出している。

「46億年という想像できないほど前に地球が生まれ、マグマが地上に噴出し、あらゆる事物を出現させ、鉄が生まれ、本当にたまたま人間が生まれ、ひとりでは生きられないから社会を作り、平和のためにと原爆を作り、人間の欲望で宇宙や自然を破壊しています。

2021年に海底火山の大規模な噴火が起きました。大量に噴出した軽石─Pumiceは、地球内部から噴出したマグマが急冷されて固まったものです。大量の軽石は、波風にのり、沖縄へ、そして大阪Nomartへ流れ流れてきました。

自分のおよばない世界への想像力を武器に、戦わないという戦いのため生涯闘い続ける!!(榎忠)」