EXHIBITIONS

久保寛子 個展「ヒト新世の群像 ― A GROUP PORTRAIT OF ANTHROPOCENE ―」

久保寛子 ヒト新世の群像-A Group Portrait of Anthropocene- 2022

久保寛子 ヒト新世の群像-A Group Portrait of Anthropocene-(部分) 2022

久保寛子 上は《ブルーアニマルズ(サル1)》、下は《ブルーアニマルズ(サル2)》 2022

 気鋭のヴィジュアルアーティスト・久保寛子の個展「ヒト新世の群像-A Group Portrait of Anthropocene-」が、ギャラリーヤマキファインアートで開催されている。

 久保は1987年広島県生まれ。テキサスクリスチャン大学美術修士課程を修了し、現在は広島県を拠点に活動。先史芸術や民族芸術、文化人類学の学説に取材しながら、生活に身近な素材を用いて農耕や偶像をテーマに制作を行っている。その作品は、展示される土地ごとの環境に呼応しながら、人間の創造的な営みや想像力のダイナミズムを見る者に示してきた。

 本展では、久保がヱビデンギャラリー(広島)で2022年1月に発表した《ヒト新世の群像-A Group Portrait of Anthropocene-》を中心に、新作と合わせて紹介。ブルーシートを素材にした巨大な作品を、今回は新たなインスタレーション作品として展開する。

 今作のキーワードは「ヒト新世(Anthropocene)」。人類の活動が、かつての小惑星の衝突や火山の大噴火に匹敵するような、地質学的な変化を地球に刻み込んでいることを表す地質学の造語だ。独自の彫刻的視点から、神話や歴史をひも解き作品を表現してきた久保が、私たちの現在と未来における創造を問おうと試みる。目の前に展開された群像図は、死と生、破壊と建設、日常と非日常が混交となり、現代社会を生きる新しい人間の物語として、見る者の前に立ち現れることだろう。