EXHIBITIONS

佃弘樹「The Darkest Hour」

2022.06.18 - 07.17

佃弘樹 New Family 2022
© Hiroki Tsukuda Courtesy of Nanzuka

佃弘樹 Empty Glass 2022
© Hiroki Tsukuda Courtesy of Nanzuka

佃弘樹 On the Beach 2022
© Hiroki Tsukuda Courtesy of Nanzuka

佃弘樹 Swimming Pools(Drank) 2022
© Hiroki Tsukuda Courtesy of Nanzuka

展示風景より © Hiroki Tsukuda Courtesy of Nanzuka

展示風景より © Hiroki Tsukuda Courtesy of Nanzuka

展示風景より © Hiroki Tsukuda Courtesy of Nanzuka

 佃弘樹の新作個展「The Darkest Hour」が、NANZUKA UNDERGROUNDで開催される。

 佃は1978年香川県生まれ。武蔵野美術大学映像学科を卒業後、東京を拠点に活動している。2019年に群馬県立近代美術館にて個展「Monolog in the Doom」を、翌年3月にはロックダウン直前のニューヨーク、Petzel Galleryで個展「They Live」を開催するなど国内外で高い評価を受けている。

 佃の作品を理解する重要な要素として、佃が幼少期から親しんできたSF映画やテレビゲーム、アニメーション、マンガ、音楽、小説などからの影響がある。佃は自身の作品を外の世界(アウターワールド)と解説しているが、そこには佃が幼少の頃から信じてきた未来と、その未来を生きる現実との乖離を読み取ることができる。

 佃の作品が持つ近未来的な世界観は、作家がこれまでの人生において記録してきた情報と、現在進行形の世界で読み取っているイメージが歪みながら複雑に混ざり合い生まれた、もうひとつの「現実」を思わせる。

 本展のタイトル「The Darkest Hour」は、コロナ禍に見舞われた世界のなかで、ロシアとウクライナ間で起きた戦争、燻り続ける中国とアメリカの対立、富の格差の拡大に起因する社会不安といった問題が、より一層顕著になった世界の現在地点における佃の率直な感想を言い表している。

 本展では、佃が長年集取してきたスター・ウォーズやガンダム、モンスター・ハンターなどの小型フィギュアを分解して再構築した立体コラージュをもとにつくられた立体作品を展示。またファウンドオブジェクトを多用して構成されたインスタレーション、インクとシルクスクリーン、アクリルを駆使して、佃が独自に発展させてきたミクストメディア・ペインティングの新作も並ぶ。本展に寄せて、佃は次のようにコメントしている。

「私は1978年生まれなのですが、幼少期は日本は豊かでした。ベルリンの壁の崩壊や冷戦の終焉もあり、幼い私の目から見た世界はなんとなく平和な方向に進んでいるものだと思っていました。その反動なのか 80 年代、90 年代の映画や音楽は暗い未来を描いた作品が多かったように思います。私はそういった暗い未来をフィクションとして楽しみ、そして多大な影響を受けました。その時は未来がこんなにも暗いものだとは誰も想像していなかったはずです。私の好きな映画のひとつ、インターステラーの中にデュラン・トマスという詩人の詩が引用されていました。

『穏やかな夜に身を任せるな。
老いても怒りを燃やせ、終わりゆく日に。
怒れ、怒れ、消えゆく光に。』

その映画では滅びゆく人類と地球、それに立ち向かい人類を救うために宇宙に旅立つ主人公のストーリーが描かれていますが、この一節は映画館でこの映画を観たときからずっと私の心の中にあります。 夜明け前が一番暗い、その言葉と夜明けを信じて。」