EXHIBITIONS

竹久直樹「ピンチ」

2022.05.27 - 06.22

竹久直樹「ピンチ」より

 アーティスト・竹久直樹の個展「ピンチ」が新宿歌舞伎町のデカメロンで開催中。今年4月に同会場で行った「スーサイドシート」展に続く個展であり、「新宿流転芸術祭」の一部として吉田山がキュレーションする。

 竹久は1995年生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース卒業。2019年よりセミトランスペアレント・デザイン所属。主にソーシャルメディア普及後における写真を扱いながら、撮影を行っている。近年の主な展覧会に「惑星ザムザ」(小高製本工業跡地、東京、2022)、「沈黙のカテゴリー」(クリエイティブセンター大阪、2021)、展覧会企画に「power/point」(アキバタマビ21、東京、2022)などがある。

 本展のキュレーションを務める吉田山は、次の言葉を寄せている。

「ポスト・インターネット以後の写真メディアを活動の軸とするアーティスト竹久直樹による個展『ピンチ』の開催となります。(一部省略)事故時の死傷率の高い席である助手席/スーサイドシートでの経験をデカメロンという時空間に展覧会『スーサイドシート』として展開しました、そして本展覧会である『ピンチ』ではコンセプトを継続し、より強固なものへと変化させます。

『スーサイドシート』では竹久は写真撮影時に重要とするポイントが『カメラ本体でも撮影する本人の意思』でもなく『写真を撮影するためのロケーションまで行く道中の車内でのあれこれ』という間延びしたプロセス自体が『撮影する』という言葉を基礎に、その撮影で使用していたが廃車となってしまった自動車関係のオブジェクトやマクドナルド・ドライブスルーでのハンバーガーの紙袋、深夜に撮影した写真群、その全て/インスタレーションを≒写真もしくは撮影と定義するという展覧会でした。

『スーサイドシート』によってアーティスト竹久直樹と、廃車自動車がこの展覧会によって再会を果たしましたが展覧会の賞味期限は短く、再度、解体され、またお別れとなりました。しかし、解体した展覧会は洗濯ばさみにつるし、天日干しさながら、乾燥食品のように軽く薄く、賞味期限も延長されます。遅れてきた個展『ピンチ』によって『スーサイドシート』で降霊した廃自動車は転生し、歌舞伎町のストリートを漂うこととなるでしょう。」