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アピチャッポン・ウィーラセタクン

Apichatpong Weerasethakul

 アピチャッポン・ウィーラセタクンは1970年タイ・バンコク生まれ。コーンケン大学で建築を学んだ後、シカゴ美術館附属シカゴ美術学校(SAIC)で美術部門(映画制作)修士号を取得。在学中の93年から短編映画やショート・ヴィデオを発表し、99年に自らの制作プロダクション「Kick the Machine Films」を設立して本格的に映画制作を開始した。タイの東北地方を舞台に、伝説や民話、個人的な森の記憶や前世のエピソード、時事問題などを題材とした、静謐かつ叙情的な映像作品で知られる。

 2000年に初の長編映画作品を制作して以来、『ブリスフリー・ユアーズ』(2002)でカンヌ映画祭の「ある視点」部門賞、『トロピカル・マラディ』(2004)で審査員賞を受賞。さらに10年に制作された『ブンミおじさんの森』は、タイ人初となるカンヌ映画祭最高賞を受賞した。

 また、映画監督として活躍するいっぽう、1998年以来美術作家としても活動。2009年の大規模な映像インスタレーション「プリミティブ》プロジェクトは、アートの諸領域を横断する複合的な創作であり、ミュンヘンのハウス・デア・クンストのほか数多くの美術館を巡回。ドクメンタ13(2012)に参加したほか、第11 回シャルジャ・ビエンナーレ(2013)ではチャイシリとの協働作品が金賞を受賞。同年に福岡アジア文化賞を受賞。16年にチェンマイに開館したMIIAM現代美術館で、タイ初となる大規模個展を開催した。