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川久保玲

Rei Kawakubo

 川久保玲は1942年東京都生まれのファッションデザイナー。慶應義塾大学文学部哲学科を卒業後、素材メーカーに入社。67年に独立し、スタイリストの仕事を経て、69年に「COMME des GARÇONS(フランス語で「少年のように」)」を設立した。

 81年パリ・コレクションに初参加。ファッション界ではタブーとされる黒を基調とした、穴開きのセーター「Hole Sweater」を発表。従来の衣服の概念を覆すデザインは「乞食ルック」などとも言われ、山本耀司の作品とともに「黒の衝撃」と呼ばれている。96〜97年には、「黒」のイメージから一転、赤を用いたコレクションで、つねに前進するブランド姿勢を示した。97年、腰や背中を羽毛のパッドで膨らませた「body meets dress, dress meets body」を発表。「こぶドレス」と呼ばれるこの作品を通して、新たな身体美を提示した。同シリーズは、前衛舞踏家のマース・カニングハム率いる舞踏団のステージ衣装にも採用された。

 また広告においても、洋服を前面に押し出さない斬新な手法を取り入れ、ダイレクト・メールには毎年著名アーティストの作品を起用。これまで、艾未未(アイ・ウェイウェイ)、ルネ・ブリ、大友克洋、JRらとコラボレーションしている。

「COMME des GARÇONS」のデザインは主に川久保、渡辺淳弥、栗原たおの3名が担当。ブランドのラインとして「COMME des GARÇONS」「COMME des GARÇONS HOMME PLUS」「PLAY COMME des GARÇONS」などが展開されている。2019年にファッション分野から初めてイサム・ノグチ賞を受賞。