ARTISTS
松原健
Ken Matsubara
松原健は1949年東京都生まれ。「記憶」をテーマに、ファウンド・オブジェクトや反復する映像などを用いて作品を制作。個人的な気配を感じさせるいっぽう、撮影者不明の写真などを組み合わせて匿名性を付与し、作品を通して誰もが共鳴しうる記憶を喚起させる。近作に、偶然発見した古いスナップショットとその撮影地を実際に訪れた映像を対比させ、過去と現在の交差を試みた「REPETITION - BOOK」シリーズ(2014)、小鳥を買いそれを放すことで功徳を積むという、東南アジアの仏教寺院での習慣に潜む人間の生き物への慈しみ、死を悼む心を表現した《放鳥》(2016)など。近年は東洋的な無常の概念、日本独自のもののあはれに関心を持つ。近年の個展に、「UTSUSEMI」(Olga Korper Gallery、トロント、2020)、「REPETITION」(Galeria Rafael Pérez Hernando、マドリード、2018)「放鳥」(MA2Gallery、東京、2017)など。国際的な映像作品フェスティバルへの参加多数。