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竹久夢二

Yumeji Takehisa

セノオ楽譜の表紙 「千代田区×東京ステーションギャラリー 夢二繚乱」(東京ステーションギャラリー、2018)での展示風景

 竹久夢二は1884年岡山県生まれ。大正ロマンを代表する画家、デザイナー、文筆家。1905年、早稲田実業学校専攻科在学中に新聞に短文やコマ絵が掲載されたことを契機に、継続的に新聞や雑誌に投稿する。07年に読売新聞社に入社後、同紙にコマ絵や文章を提供。洋画家・岡田三郎助から美術学校には通わずに独学で個性を伸ばすことを勧められ、独自の美人画を確立していく。

 09年に初の画集となる『夢二画集 春の巻』(洛陽堂)刊行。以後、画集を刊行するほか、装丁や挿絵を担当。洗練された「夢二式美人」は評判を呼び、大衆人気を不動のものとする。11年に発売された『月刊夢二エハガキ』が大好評となったほか、グラフィックデザインや服飾デザインの分野でも才能を発揮。14年に開店した妻・岸たまきが主人を務めた「港屋絵草紙店」で販売された夢二デザインの千代紙や半襟などは当時の女性たちの憧れとなった。

 ほかにもセノオ音楽出版社から発刊された『セノオ楽譜』の装丁や、『婦人グラフ』(国際情報社)をはじめとする明治末期に相次いで創刊された少女向け雑誌の挿絵や装丁、子供向け雑誌の挿絵など幅広く手がけた。ヨーロッパの美術動向にも敏感で、自身の表現にも反映させていた。34年没。