ARTISTS

雪村

Sesson

 雪村周継は永正元年(1504)生まれとされる水墨画家、僧侶。戦国時代、常陸国部垂(現・茨城県常陸大宮市)に佐竹氏の一族の長男として生まれるが、幼くして出家し画僧となった。関東や東北を遍歴しながら仏画や肖像画、水墨画などを制作。その生涯はいまだ謎に包まれた部分も多いが、橋本雅邦や狩野芳崖ら後世の絵師たちに大きな影響を与えたとされている。代表的な作品《呂洞賓(りょ・どうひん)図》(16世紀半ば)は、中国・唐時代の仙人を題材にしたもので、呂洞賓が後ろ向きで龍に乗り、空高く舞う龍と対峙する姿を描いており、その構図や呂洞賓の顔の表情などから「奇想」の作品とされている。天正17(1589)年頃没。2017年には東京藝術大学大学美術館で特別展「雪村—奇想の誕生—」が開催された。