現在、ベルリンを拠点に活動する塩田千春は、空間に張り巡らせた糸や、ドレス、靴、ベッドなどの人々の生活の痕跡や記憶を内包する素材を用い、大規模なインスタレーションを中心に、立体、写真、映像など多様な作品を制作している。
2015年には、第56回ヴェネチア・ビエンナーレに日本代表作家として参加。大量の赤い糸と世界中の人々から集められた鍵を使った《掌の鍵》を発表し、話題となった。
本展では、生と死という人間の根源的な問題に向き合い、「生きることとは何か」「存在とは何か」を探求してきた塩田が、すべて新作で会場を構成。グレーに塗られたキャンバスと白い糸を用いた「Night Sky」や、赤い糸を使った「Endless Line」といったシリーズのほか、船をモチーフにした立体作品などを展示。また、近年制作を試みているブロンズ作品のなかから、家族の手をモチーフにした作品も発表する。