ミケーラ・ペドロンは1980年イタリア・トレント生まれ。ヴェネチア美術学校を卒業後、現在はヴェネチアを拠点に制作活動を行っている。
ペドロンは、いくつかのモチーフを一貫したシリーズとして制作することで、現代世界を全体的に理解し描き出そうと試みており、その作品には様々なかたちの「二元性」が込められている。
たとえば《Cranky Crow》や《Nevermore》で描かれるカラスは、多くの文化で神の使いであるとともに、不幸の担い手でもあるなど対照的な概念を象徴している。また、鹿の頭蓋骨をモチーフにした《Dear Deer》では童話にも描かれるように虚栄の象徴ともされる鹿が描かれ、真に価値あるものを忘れて上辺の美しさばかりを重視する社会を批判している。
キャンバスに絹を重ね、しわくちゃにくせをつけ、あるいは古色加工を施すなど、既存の方法に囚われない自由な方法で、社会の様々な境界線を問い直す作品を制作し続けるペドロン。本展では、独自の表現技法で幻想的に描かれた新作20点を含む作品群が一堂に展覧される。