ぞくぞくするような素晴らしい作品に出合い、思いきって手に入れたとしても、コレクションとして公開せず自分だけが楽しむ──日本のアートコレクターには、そういった方が多いように思います。もちろん公開する「場」がないという場合もあるでしょう。
今回ご紹介する川口達也さんは、自らのコレクションサイト「KAWAGUCHI COLLECTION」を開設し、収集した作品の写真を掲載しています。しかも、井田幸昌、名和晃平、山口歴、KYNEという有名作家の名前がずらりと並び、アーティストごとに作品を見られるようになっています。クリックすると、独自のアングルで撮影した作品が表示され、アクセスすれば誰でも閲覧して楽しむことが可能。また、ウェブサイトに新たな作品が加わるごとに、川口さんのInstagram(@Tatsuyakawaguchi)のストーリーで告知されます。
川口さんは次のように語ります。「私自身も、最初は自宅で作品を楽しんでいるだけでした。でも、知り合いから『せっかくならウェブサイトにコレクションを公開して、多くの人が見られるようにしたら?』といわれたのがきっかけで、自分でウェブサイトを立ち上げました」。
川口さんのお仕事は、複数の美容院の経営。ですが、自社内にエンジニアを抱え、ウェブサイトやそれに付随するサービスの作成・管理を行っているため、これらの分野に明るく、すんなりと開設できたのでしょう。
「情報は、出せば出すほど集まってくると考えていますので、迷いやためらいはまったくありませんでした。実際、このウェブサイトのおかげで、同じ作家の作品を集めるコレクターや、取材の依頼まで、多くの方とつながることができました。大御所のアーティストの方は別として、若手アーティストであればSNSも定期的に更新し、自身の認知度を高めようとしています。このウェブサイトが、少しでもその手助けになれば、という気持ちもあります」