2013年に「和食:日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産登録を受けるなど、世界的に注目を集めている和食。その魅力を、日本列島の自然がもたらした多様な食材や、発酵技術や調理法、歴史的変遷といった多角的な視点から掘り下げ、標本・資料等を用いた科学的な解説と、4Kやデジタルアートなどの映像演出で紹介する展覧会だ。
まず、同展が焦点を当てるのは、日本列島の豊かな自然が育む多彩な食材。すべての基本となる水、気候と関わりの深いキノコや山菜、彩り豊かな野菜、古来より食されてきた魚、貝・甲殻類、海藻などを切り口に、250点以上の実物標本や模型、映像などを通して、科学的な視点で身近な食材を解説する。
次に、縄文時代から今日に至るまで、和食がいつごろどのように成立し、海外とどのように交流しながら発展してきたのかを探る。天武天皇による肉食禁止や室町時代の出汁の誕生、江戸時代の食文化の発展、明治維新後の「和食」「洋食」への意識や、戦後の多様化に至るまで、歴史的なトピックを料理の再現模型や資料などを通じて紹介。その背景にある人々の知恵や技術の発展などを明らかにする。
さらに、和食はこれからどのような変化をとげるのか、貴重な食料資源の確保、宇宙生活を目指した研究開発など、未来に向けた最新情報を紹介。また、高精細映像やインタラクティブ・アートも取り入れた映像展示で、和食の世界を体感することも可能。身近な和食を最新の研究や資料とともに探求できる展覧会となっている。