画面には、ウェブサイトのスクリーンショットや制作現場の写真、あるいは新聞の画像データなど様々なイメージが組み込まれており、それらが複雑に異なる画面の中を交錯する。すべてはエプソンのインクジェットプリンター(SureColor P9000)によって「描かれる」ことで生み出された。
まるで抽象画のように見える画面も、実際は過去につくった画像を抽出して編集したものであり、これもプリントによって表現されている。作品はパネル状ではあるが、ガイトンは「自分のことをペインターだとは思っていない。絵画や写真というカテゴリを出たり入ったりしながらつくられるものだ」と話す。
これら13枚のパネルは1つに重ねることも、一部を壁にかけ残りを重ねることも、あるいはすべてを壁にかけることもできるが、本展ではすべてが壁面に沿って展示された。その理由をガイトンはこう語る。「私は展覧会をつくるとき、建築的な構造に影響を受ける。今回はここのガラス張りの空間がおもしろいと思った。作品の間から東京の街が透けて見える鑑賞体験にしたいと考えた」。また本作はこの展覧会が初披露の場であるため、すべてのパネルを見える状態にしたかったとも話している。
さらに、作品がかけられている単管のようなストラクチャーは、同スペース天井の照明からインスパイアされたものだという。
プリントの際に生じるエラーやインクの液垂れ、ミスプリントすらも画面全体に広がる構成要素としてとらえられているガイトンの作品。それぞれの画面をじっくり見比べながら、ガイトンの作品世界に踏み込んでほしい。
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