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可笑しくて邪悪で曖昧。テート・ブリテンでいまなお冴え続けるサラ・ルーカスの世界へ

9月28日からロンドンのテート・ブリテンでサラ・ルーカスの「ハッピー・ガス」がスタートした。1980年代終わりに「ヤング・プリティッシュ・アーティスツ(YBAs)」のひとりとして注目を集めて以来、現在まで精力的に活動する彼女のおよそ40年間に渡る作品が一堂に介したエキシビションだ。展示作品数は約75点と決して多くはないが、彼女の世界観が凝縮された濃厚な内容となっている。会期は2024年1月14日まで。

文=坂本みゆき

サラ・ルーカス《Bunny Rabit》(2022)と《Zen Lovesong》(2023)が並ぶ展示風景より© Sarah Lucas. Photo © Tate (Lucy Green)

時代を大きく変えたYBAsのひとり

 サラ・ルーカスは1984年から87年までロンドンのアートの名門として知られるゴールドスミス・カレッジで学び、1988年にダミアン・ハーストがキューレーションを務めたエキシビション「フリーズ」で作品を展示。以来、イギリスに新しいアートの旋風を巻き起こした「ヤング・ブリティッシュ・アーティスツ(YBAs)」のひとりと数えられるようになる。その後、1997年にコレクターでサーチギャラリーを設立したチャールズ・サーチが収集していた彼らの作品を展示して大きな話題を集めたロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの展覧会「センセーション」で、さらに広く知られるようになる。

テイト・ブリテンの庭に置かれた、コンクリートの巨大なズッキーニをかたどった作品《ケヴィン》の前に立つサラ・ルーカス。手に持っているのはスポンサーを務めるバーバリーのウィンターコレクションからの鴨を模したニット帽 © Sarah Lucas. Photo © Tate (Lucy Green)

 ルーカスの作品はセックス、モラル、欲望などをイギリス人ならではの視点から問いかけ表現し、ショッキングかつ独特な毒を持っていながらも、常にどこかユーモラスなのが特徴だ。今回の「ハッピー・ガス」では16点の新作を含む合計およそ75点の作品の選出と構成もルーカス自身が行っている。

椅子の上でうねるボディが語りかける

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