大山エンリコイサムの新展開。個展「SPECULA」がRICOH ART GALLERYで開幕

エアロゾル・ライティングのヴィジュアルを再解釈したモチーフ「クイックターン・ストラクチャー」を起点に、メディアを横断する表現を展開する大山エンリコイサム。その新作個展「SPECULA」がRICOH ART GALLERYでスタートした。会期は11月20日まで

展示風景より、大山エンリコイサム《SPECULA #8》(2021)

 エアロゾル・ライティングのヴィジュアルを再解釈したモチーフ「クイックターン・ストラクチャー」を起点に、メディアを横断する表現を展開してきたアーティスト・大山エンリコイサム。その新作個展「SPECULA」が、東京・銀座のRICOH ART GALLERYで始まった。

展示風景より

 大山エンリコイサムは1983年東京生まれ。2009年に東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻を修了。2011〜12年のアジアン・カルチュラル・カウンシルの招聘でニューヨークに滞在以降、ブルックリンと東京にスタジオを構えて制作している。

 本展で大山は、リコー発の2.5次元印刷「StareReap(ステアリープ)」との共創に挑戦。新作となる「SPECULA」シリーズは、大山にとって初めてのデジタル作品だ。

展示風景より

 「手描きではできない次元まで行けるかを念頭に置いた」という今回。大山は過去作品をピックアップし、そこにあるクイックターン・ストラクチャーを解体・再構築。デジタルによるイメージの増殖・複製を繰り返しながら、新たな表現をつくりだした。

 「SPECULUM」とはラテン語で「鏡」を意味するもので、「SPECULA」はその複数形。増殖性そのものを落とし込んだシリーズはアラベスクや曼荼羅、カレイドスコープなどを連想させるが、大山は「特定の文化コードを参照してはいない」と語る。

展示風景より

 そもそも大山のクイックターン・ストラクチャーはエアロゾル・ライティングの文字のかたちを解体し、描線を抽出し、組み直したものであり、解体と構成のサイクルが内在されている。大山の「SPECULA」は、このクイックターン・ストラクチャーをさらに解体、再構築した結果だ。

 デジタル技術によって実現した複雑で繊細な「SPECULA」シリーズによって、作品における物質とイメージの関係性を改めて問いかける。

展示風景より

編集部

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