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孤高の画家・ルドンが描いた「秘密の花園」とは? 世界初のルドン展が三菱一号館美術館で開幕

20世紀フランスの画家 オディロン・ルドンが描いた花や植物をモチーフとする作品に焦点を当てた展覧会「ルドン―秘密の花園」が、三菱一号館美術館で2月8日に開幕。世界初の試みとなる本展の見どころを紹介する。

展示風景より

 2月8日より三菱一号館美術館で開催される「ルドン―秘密の花園」展。19世紀後半からから20世紀初頭にかけてフランスで活躍した画家オディロン・ルドンの、植物をモチーフとした作品に焦点を当てた世界初の展覧会だ。

 なかでも注目が集まるのが、同館が所蔵する最大級のパステル画《グラン・ブーケ》。本作は、フランス・ブルゴーニュ地方に住んでいた注文主・ドムシー男爵の城の食堂に飾られており、約110年ものあいだ非公開となっていたもの。本展では、フランスのオルセー美術館が所蔵する残りの15点もあわせ、食堂を飾っていた計16点が一堂に会する。

オディロン・ルドン グラン・ブーケ(大きな花束) 1901

 同館館長の高橋明也は、「《グラン・ブーケ》を実際に城の薄暗い、重厚な空間で見た時、『この空間を再現した展覧会を開く』と決意した」という。

 また、本展担当学芸員・安井裕雄は、「世紀末の装飾画をリードしたナビ派と、次の世代であるモネとの間の抜け落ちていた大事なピースをルドンが埋めるのではないか。三菱一号館美術館では、昨年『オルセーのナビ派展』を開催しており、偶然ではあるが、そのつながりをわかりやすく示す教育的価値も高い展覧会となった」と本展の意義を語った。

展示風景より

 一般的には、キャリアの前半に描いた暗く沈んだトーンの作品で知られるルドンだが、後半には、そのミステリアスな空気は残しつつ、輝かしい色彩と光にあふれた作品を多く残した。180度違うこの作風をつないでいるのが、前述の装飾画だ。本展では、「植物」というルドンの画歴のごく初期から晩年まで一貫して描き続けられたモチーフを通してその変遷を見ることができる。

展示風景より。手前は《『悪の華』VIII. 末章の挿絵》(1890)
展示風景より。手前は《眼をとじて》(1900年以降)

 また本展では、ルドンが長い修業生活の初めに助言を得た画家のコローや、ルドンが描いた人間の頭部を持つ植物への影響が指摘される在野の植物学者アルマン・クラヴォーなど、ルドンに大きな影響を与えた人物たちにも注目。貴重な資料も多数展示される。

展示風景より

 オルセー美術館をはじめ、世界有数のルドンコレクションを誇る岐阜県美術館、ニューヨーク近代美術館(MoMA)など世界中から、「植物」をテーマに集められたルドンの作品を一挙に見ることができる本展。印象派と同世代でありながら、内面世界に目を向け続けた特異な画家・ルドンの幻想的な世界を会場で体感してほしい。

展示風景より。左から《神秘的な対話》(1896頃)、《ドムシー男爵夫人の肖像》(1900)
展示風景より

編集部

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