建築と美術が交差する空間へ。中村竜治と松延総司の「Spatial Dance」が京都・瑞雲庵で開催へ

京都・上賀茂のアートスペース「瑞雲庵」で、建築家・中村竜治とアーティスト・松延総司による展覧会「Spatial Dance」が10月24日から開催される。日本建築における「もの」と「こと」の関係に着目し、建築と美術の抽象性を探る。

「Spatial Dance」展の展示風景

 京都・上賀茂のアートスペース「瑞雲庵」で、建築家・中村竜治とアーティスト・松延総司による展覧会「Spatial Dance」が開催される。会期は10月24日〜11月23日(土・日・月曜日のみ開館)。

 本展は、日本建築における「もの」と「こと」の関係に着目し、建築と美術の双方に存在する抽象性を探るものだ。ここでいう「もの」とは、建築を成り立たせる構造や機能といった物理的な条件を、「こと」とは、その空間のなかで生じる人間のふるまいや身体的な経験を指す。ふたつの要素が交錯する日本建築の特質を、現代美術と建築の双方からとらえ直すことを試みる。

 会場となる瑞雲庵は、京都市北区に位置する伝統的な和風建築を活用したアートスペース。公益財団法人西枝財団が運営し、次代を担う若手創造者の支援を目的に、現代美術の展覧会などを開催している。今回の展覧会では、建築的なアプローチを持つ松延と、現代美術の視点からも活動する中村、そして瑞雲庵という空間の三者による対話を通して、私たちの知覚と身体、空間の関係を問い直す。

瑞雲庵での展示風景

空間を内側から問い直す、松延総司の作品

 1988年熊本県生まれの松延総司は、滋賀県を拠点に活動するアーティスト。2023年にはポーラ美術振興財団の在外研修員としてフランスに滞在し、近年は京都市京セラ美術館や滋賀県立美術館などでも作品を発表してきた。

 本展では、日常的な事物が持つ機能や意味を問い直す《棚》や《Dimensional box》を紹介する。《棚》は、物を置くための家具である棚本来のコンセプトについて問いかける作品だ。 松延の制作する「完結した棚」は、物の出し入れを拒絶することを通して、私たちの「棚」に対する認識を浮かび上がらせる。 鑑賞者は本来の役割を果たさない(果たしてしまった)抽象的な物体を前に、その「もの」が何であるのかを改めて意識することになる。

松延総司《Shelf #2》(2013-26)合板 180x90x28.5 cm

 同様に《Dimensional box》も、アクリルボックスに箱の内部がレントゲンのように映し出された自己言及的な作品だ。作品は箱の影を映し出すいっぽうで、照明として周囲の空間に光と影を生み出している。用途と要素が削ぎ落とされた日本家屋のなかで、いずれの作品も空間を構成する一部となる。また、「棚」も「箱」もその内側には自身の空間を保有する。作品に内在する「問い」は建築そのものへと広がり、瑞雲庵を批評的な抽象空間へと変貌させる。

松延総司《Dimensional Box 1》(2015)アクリル、木箱、LED 60.6x44.3x39 cm

編集部

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