香川県琴平町の文化・芸術関係者によって昨年設立された任意団体「琴平芸術研究所(The Art Institute of Kotohira)」。その第一弾事業として「まちぐるみコンテンポラリーアートギャラリー琴平プロジェクト」(以下、琴平プロジェクト)が、昨年12月から今年2月末までの3ヶ月間で開催されている。
琴平芸術研究所は、地域のクリエイティブな文化の発展を促進するために、地元のアーティストや活動家、法人との緊密な連携を目指して立ち上がった任意団体。今回の琴平プロジェクトは、琴平町商店街周辺の空き家を現代アートのギャラリーに転換させることで集客を促進し、転貸や定期賃貸借契約に結び付けることを目指す新たな不動産取引スキームだ。
古来から多くの人々が足を運んでいた金刀比羅宮(こんぴらさん)でも知られている琴平町。昭和の頃には年間500万人超の観光者が訪れていたが、近年は娯楽の多様化や観光スタイルの変化によりその観光者数が大幅に減少。また、日本全体の平均よりも明らかに先んじている少子高齢化や過疎化により建物の老朽化が加速し、空き家や空き店舗などもかなり見受けられる。
こうした背景のもと、琴平の新たな観光資源の魅力増加とアピールを目指し、また新たなコンテンツ「コンテンポラリーアートギャラリー」をインストールすることで不動産広告として、空き家・空き店舗の活用を目的に琴平プロジェクトが誕生した。文化的コンテンツの増加やクリエイティブな人材の流入により、「観光地」としても、地域住民が暮らしたくなる「居住地」として、同地域が新しい文化的な「目的地」としても成長していくことを狙っているという。
昨年12月23日〜29日の1週間、アートの本質と可能性に迫り、地域とアートとの関連性を探求するプログラム「琴平ARTな一週間」が実施。会期中には、遊休不動産化している物件やスペースを借り、既存の建物の状態を活かしたDIYを得意とする西村組をはじめ、大阪のアートフェア「UNKNOWN ASIA」のプロデューサーであり、アーティストでもある石川武志、アーティストであり、「国際芸術祭あいち 2022」のラーニング・キュレーターなども務めた山本高之などを迎えたワークショップが開催された。
今年1月30日〜2月25日の約1ヶ月間は、さらに「ことひらアートワークショップな1ヶ月」が開催中。初日に行われた、現代美術作家で日本画家の新埜康平を迎えたワークショップ「初めての日本画教室」をはじめ、琴平出身の画家である田岡和也による「切り絵でつくる『琴平景』」(2月10日)、子供を対象にした遠藤真帆美の「見た事もないダンスを作る」(2月12日)、矢野恵利子、Juno Mizobuchi、Yuka Mizuhara、山田茂のアーティスト4名による「公開習作会」(2月18日)、現代美術家で『手食』主宰・編集の八幡亜樹による「手打讃岐うどんを手で食べる」(2月24日)など、多彩なワークショップが用意されている。