「女子美」の名で知られる女子美術大学は、女性に対して高等教育機関における美術教育への門戸が開かれていなかった1900年に、「芸術による女性の自立」「女性の社会的地位の向上」「専門の技術家・美術教師の養成」を目指して、美術教育を行う学校として創立。日本で唯一、女性のみが学ぶ美術教育機関だ。
3月1日より東京都美術館で開催される「JOSHIBISION」では大学・短大・大学院の各専攻・領域・コースに在学する学生の選抜作品と、女子美術大学付属高等学校卒業制作作品が展示される。タイトルの「JOSHIBISION」は「JOSHIBI×EXHIBITION×VISION」をつないだ造語で、「いまを生きる、等身大の学生たちの様々な視点が集まり、ともに未来をみつめていこう」というメッセージが込められ、2017年から毎年3月に開催、女子美の考える価値観を発信、提案してきた。
今年度は展覧会とともに、会期初日のオープニングイベントとして、社会で活躍するアーティスト、キュレーター、ギャラリー関係者を招いた出展学生との交流会を実施。その様子は女子美術大学の公式ウェブサイト内の特設ページ内でも随時公開される。
今回の出展者は、女子美での学生生活のほとんどコロナ禍で過ごしてきた学生・生徒たちだ。コロナによる様々な制限がかかる日常の中でも自ら考え、創作活動を進めるなかで、何を感じ、どのように制作に取り組み、どのような表現で社会に発信していくのか。新たな才能・多様な表現にも注目される。
コロナ渦で学びを止めなかった女子美生たちの作品が集結する「JOSHIBISION」。作品はもちろん、作者が今後どのような成長曲線を描くのか。将来の活躍にも想像も膨らませながら、本展覧会を見届けたい。