35歳以下を対象に、グランプリ受賞者には個展開催の権利が与えられる公募展「1_WALL」。その第24回写真「1_WALL」展が、11月5日〜12月4日に銀座のガーディアン・ガーデンで開催される。
写真「1_WALL」展は、ポートフォリオ審査による1次審査と、一対一で審査員と対話をする2次審査を通過したファイナリスト5名が、ひとり1壁面を使って作品を発表するグループ展。ファイナリストによるプレゼンテーションの後、11月10日には公開最終審査会が行われ、審査員による議論を経てグランプリが決定する。グランプリ受賞者には、1年後の個展開催の権利と、個展制作費 30万円が贈られる。
今回は、木村孝、阪東美音、白井茜、本吉映理、林煜涵の5名がファイナリストに選出。その経歴と作品を紹介したい。
木村孝
1986年生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。タイの新興工業団地に暮らす人々とその住まいやランドスケープにフォーカスし長期に渡り撮影する木村は、《Faces of Amata Nakorn, the “Eternal City”》を発表。「アマタナコーン(永遠の街)」と呼ばれ、地図には存在しない町の真の姿に迫る。
阪東美音
1999年生まれ。ビジュアルアーツ専門学校大阪卒業。《裸々》は様々な女性に同じ服を着せて、屋外で撮影した写真。タンクトップとジーパンを着用した彼女たちにとって服はどういう存在なのか。被写体たちのしぐさや表情から、女性と服の関係性を探る。
白井茜
1998年生まれ。京都芸術大学写真・映像コース卒業。幼少期から抱いてきた「家族とは何か」という問いを頼りに恩師と自身のふたつの家族を撮影したのが映像作品《繋》。あり方が異なる家族だが、現在を粘り強く生きるその姿は、現実をありありと突きつけるような作品だ。
本吉映理
1986年生まれ。日本体育大学体育学科卒業。身体的性別と心理的性別の一致を問いかける本吉は、身体的性に制限されない人間のあり方を写した《One day, boys》を展示。彼らは自らの強い意志により軸をつくり、その心と身体でいかに生きるかを体現する。
林煜涵
1996 年生まれ。東京藝術大学先端芸術表現科在籍。《850nm》は防犯カメラが発した赤外線だけ記録できるカメラを用いて撮った写真。夜に道行く人々を人間ではなく、感知センサーで自動撮影したものだ。
今回の写真部門の審査員は、小原真史(キュレーター/映像作家)、高橋朗(PGIギャラリーディレクター)、田中義久(グラフィックデザイナー/美術家)、津田直(写真家)、野口里佳(写真家)の5人が務めている。今年のグランプリは誰の手に渡るのか、注目したい。