明治期にその名称が定着した日本の伝統絵画「日本画」。その表現技法を現代に受け継ぐ作家たちを紹介するのが、「第三弾 日本画解放区」だ。
2018年にBunkamura30周年記念として初開催されたこの企画展は、今年が第3弾。参加作家は坂本藍子、鷹濱春奈、出口雄樹、神谷恵、水津達大、堤康将、只野彩佳の7名。
「日本画」とひとことで言っても、出品される作品は様々だ。伊藤若冲や円山応挙など、歴代の日本画家たちが描いてきた動物画や、どの時代にも数多の画家が描いてきた風景画など多岐にわたる。
例えば、1977年東京生まれの坂本藍子はダルメシアンを日本画で表現。真っ黒な背景とダルメシアンのコントラストが見事な作品だ。坂本は「優しさ、誠実さ、美しさ、無邪気さ、美しいと思う言葉のひとつひとつを、それぞれの生き物や人物の眼差しを通して表現してみたいと思いました」と語っている。
あるいは1992年宮城県生まれの只野彩佳は、風景画に新たな息吹を吹き込む。印象派のような鮮やかな色彩で名峰を描く只野は「永遠ではない景色の移り変わりのなかで、自分や誰かにとっての『居場所』を描いていきたいと思っています」としつつ、次のように述べる。「人の営みも自然も、長い年月の中で永遠にあり続けることはできませんが、失われるなかにある美しさや希望、痕跡を拾い集めて、新たな景色を画面に記そうとしています」。
「日本画」のイメージを脱却するような新たな表現に挑む7人の作家たち。唯一無二の次世代作品に大いに注目したい。