2020.1.25

「数寄者」たちが見せる現代の美術とは? 「数寄景/NEW VIEW」に池田学、チームラボ、宮永愛子ら17作家が参加

現代美術の「いま」を探求する展覧会「数寄景/NEW VIEW−日本を継ぐ,現代アートのいま」と「数寄景/NEW VIEW 外伝 Exhibition by imura art gallery + Mizuma Art Gallery」が、福岡三越で開催される。この展覧会に集結する現代の「数寄者」とは?

 

宮永愛子 夜に降る景色 -靴- 2014 参考画像 (C)MIYANAGA Aiko, Courtesy of Mizuma Art Gallery
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 外来文化を受け入れ、そこに独自の洗練を加えることで、創造性の高い文化をつくってきた日本の美術家たち。この日本美術の「文化遺伝子」をいまに継承するアーティストたちにフォーカスし、これからの日本美術への問いかけと可能性を見出そうとする展覧会が、福岡三越で行われる。

 「数寄景/NEW VIEW−日本を継ぐ,現代アートのいま」と題されたこの展覧会は、「あやし」「見立て」「うつろひ」「なぞらえ」「かさね」「ゆらぎ」「今様」「奇想」という8つキーワードで展示を構成。17組の作家をそれぞれのキーワードに振り分けて紹介する。参加作家は青山悟、赤松音呂、池田学、岩崎貴宏、岡本瑛里、荻野夕奈、金子富之、川人綾、木村了子、チームラボ、中北紘子、橋爪彩、水野里奈、宮永愛子、宮本佳美、山本竜基、淀川テクニック。

 例えば、「あやし」では、日本古来のアニミズムをバックグラウンドに、自らの内部に伝承する「物語」を探し絵画を描く岡本瑛里と、目に見えない世界を借りて自身の意識の奥底を描く金子富之の絵画を紹介。

金子富之 黄光飛龍 2018 ©︎KANEKO Tomiyuki, Courtesy of Mizuma Art Gallery

 和歌や俳諧、茶の湯や建築などに見ることのできる、対象を他のものになぞらえる手法「見立て」では、身の回りにある素材を使い、仮想の風景に自らの心情を映し出す岩崎貴宏と、エコロジカルな視点で漂流物を使い、見立ての世界を展開する淀川テクニックが作品を見せる。

岩崎貴宏 フェノタイピック・リモデリング(横須賀)・イン・ザ・フレーム 2019 撮影=木奥惠三 ©︎Takahiro Iwasaki, Courtesy of ANOMALY

 また「奇想」では、斬新な発想力と個性的な表現によって日本美術の絵画史を更新した伊藤若冲や曾我蕭白になぞらえ、日本ならではの美意識を継承しつつ、革新的な表現に挑む池田学と、チームラボが並ぶ。

池田学 コヨーテ 2008 ©︎IKEDA Manabu, Courtesy of Mizuma Art Gallery
チームラボ Black Waves 2016 Courtesy of the artist

 こうしたアーティストたちを現代の「数寄者」としてとらえる本展。彼らが提示する、自由闊達で創造力あふれる展示空間=数寄景とはどのようなものなのか。ぜひその目で目撃してほしい。

 なお本展ではこれらに加え、「数寄景/NEW VIEW 外伝 Exhibition by imura art gallery + Mizuma Art Gallery」として、イムラアートギャラリー、ミヅマアートギャラリーに所属する作家たちの作品・版画の展示販売も実施。「数寄景」出品作家の池田学、宮本佳美をはじめ、山口晃や三瀬夏之介らの版画作品など約30点を実際に購入できるチャンスとなっている。

池田学 ブッダ(版画作品) 2017 ©︎IKEDA Manabu, Courtesy of Mizuma Art Gallery
宮本佳美 ebb tide 2019 ©Yoshimi Miyamoto, Courtesy of imura art gallery
山口晃 九州鐵道驛中驛外圖(版画作品) 2018 ©︎YAMAGUCHI Akira, Courtesy of Mizuma Art Gallery