株式会社誠勝の「絵画そのままスキャン」は、美術作品を立体的にスキャンすることで、高品質のデータにすることができるサービスだ。持ち込み、あるいは送付された作品を、迅速かつ高い品質でスキャニングしてデータ化することができる。
本サービスの特徴として、アーティストから多くの支持を受けていることが挙げられる。アーティストが作品のデータ化を必要とするシーンは様々だ。
例えば、自作を印刷物などで二次活用する場合や、プレゼンテーションのための資料制作、さらに買い手がついた絵画をデータで保存したり、素材の劣化や被災の可能性などに備えてアーカイブ化するなどの需要もある。いずれも、忠実な作品スキャンが必要となり、結果的に「絵画そのままスキャン」が選ばれている。
「絵画そのままスキャン」で使用されるスキャナーは、2018年に日本で発売された最新鋭のドイツ製アートスキャナー「WideTEK(R) 36ART」だ。最大で914✕1524ミリメートルのサイズまで、厚さも100ミリメートルまでのスキャニングが可能となっている。
さらに、特殊な3D配光機能により、対象物の表面の凹凸をとらえる「3Dスキャン」を実装。絵具の盛り、模様、色を載せたときの質感や空気感を、実物と同じように正確にスキャンすることができる。
また本機は、一度のスキャニングで様々な角度から同時に複数のカットも撮影する機能を備えている。この機能により、作品からの光の反射を防ぐことができ、対象に忠実なデータ化を可能にしている。
これまで作品をデータ化するうえで一般的だったのは、カメラによる撮影だ。カメラとスキャンを比較すると、特に油絵などのデータ化に大きな違いが出る。3D配光を用いたスキャンであれば、絵具が盛られた油絵の立体感もそのまま、データに再現することが可能だ。
金や銀のような特殊な絵具や素材の場合も、カメラでの撮影では光の反射によって輝きや色味が失われてしまい、実際の色味を表現するのが難しい。スキャンであれば、このような特殊な色味も忠実に写し取ることができる。
ほかにも、カメラでの撮影の場合、額に入った作品は反射を考慮して額から出す必要があった。しかし「絵画そのままスキャン」なら、額に入れたままで作品のスキャニングを行うことができ、作品を必要以上に動かすというリスクを冒さず、データ化できる。
大型の作品に対応していることもサービスの特徴だ。何枚かに分けてカメラで撮影し、後に合成していたような大型作品も、一度のスキャンでデータ化することができる。これまでのようにセットを組んで照明を焚き、カメラを慎重に調整しながら何度も撮影する、といった時間やコストをかける必要はない。
「絵画そのままスキャン」でスキャニングを担当するスタッフの多くは、美術品の取り扱いを心得た美術大学出身者。顧客から預かった原画を、ひとつづつ丁寧にスキャンしていく。一般資料などのスキャニングを請け負う業者は数多いが、「絵画そのままスキャン」のように、信頼の置けるプロフェッショナルスタッフによって、美術品を確実かつ正確にデータ化するサービスは希少だ。
「絵画そのままスキャン」を運営する株式会社誠勝は、もともとプロのカメラマンによって、絵画の高精細なデータ化を請け負っていた。現在でも、アートスキャナーに入らない大型の絵画はカメラによる撮影でデータ化しているというが、 カメラによる撮影は作品ごとに照明の調整が必要になり、多くの時間がかかる。さらに、解像度を求めると、分割して撮影した写真を合成する作業が発生するなど、厳密に原本のデータ化ができているとは言いがたい。
誠勝の代表、山本大視はカメラに対してのスキャニングの優位性を以下のように語る。
「アートスキャナーであれば、カメラのように照明を調整する必要がなく、作品の持ち込みから30分以内にはデータ化することができます。また、高解像度で合成せずにデータ化できるため、より原本に忠実なデータを作成する事ができるわけです。このスキャナーによって、もっと気軽に、もっと忠実に、絵画のデータ化ができる環境を提供できたらと思っています」
作品の質感を忠実に再現しつつ、効率的なデータ化を可能にした「絵画そのままスキャン」。多くのアーティストにとって、魅力的なサービスと言えるだろう。