「孤独の身体」を表現。現代美術 艸居でアーティストの青木千絵が個展を開催

大学時代より一貫して、自分の内側に眠る「何か」と対峙することを作品の根底に、腰から上が歪み、引き伸ばされ、溶解したような人型の大型漆造形作品「BODY」を制作してきた青木千絵。京都のギャラリー「現代美術 艸居(そうきょ)」にて、大型作品など約10点を発表する個展が開催される。会期は9月8日〜29日。

青木千絵 BODY 18-3 2018 漆、麻布、スタイロフォーム 63x60x100cm

 青木千絵は1981年岐阜県生まれ。金沢美術工芸大学大学院博士後期課程 美術工芸研究科工芸研究領域の漆・木工コースを修了し、現在同大学の助教を務めている。

 彫刻を学ぶ学生時代、後の恩師・田中信行の漆の作品《Orga》と出会った青木。このことが漆の奥深さを知るきっかけとなり、漆こそが自分の中にある「何か」と振幅し、「形態だけで表現するにはあまりにも得体の知れない」それを表現し得るものだと考えたという。

 そして大学時代より一貫して漆を素材に、自分の内側に眠る「何か」と対峙することを作品の根底に、腰から上が歪み、引き伸ばされ、溶解したような人型の大型シリーズ「BODY」を制作してきた。

 「何か」と潜在意識下で対話することを起点としてスタートする青木の作品。「BODY」と名付けられた一連の作品シリーズは、自分の闇、殻、潜在意識の中で、孤独の不安と心地よさの狭間に揺れる青木自身を投影している。

 本展では「BODY」シリーズの出発点となった「BODY - 内と外 -」の再制作を含む大型作品3点を展示。また小作品4点と、ドローイングをもとに手がけた6点を展示する。

 作家は漆について「私の作品において、私の精神世界を表現する上で重要な役割を担っているのであり、私は、漆を全面的に信頼し、すべてを委ねている」と話す。50近い工程を経て実現される、滑らかで深い漆の鏡面が織りなす造形に注目してほしい。

編集部

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