定着と進化
フランスで最大の近現代美術見本市として去秋始動した「Paris+ par Art Basel」が、今年もグランパレ・エフェメールで開幕した。フランスでは現下のイスラエル・パレスチナ情勢を端緒としたデモや爆破予告等を受け、国内でのセキュリティ対策が強化されているが、VIPプレビューでは10時の開場から出展画廊の顧客やアート関係者で賑わった。
ロンドンとパリを梯子したコレクターやメディアの評でも、フリーズ・ロンドンとフリーズ・マスターズが一流の美術を提示するアイデンティティを維持、厳しく言えば既視感があったことに対し、Paris+ par Art Baselではギャラリーや作品がレベルアップした印象だという。ブレグジット以降続くメガギャラリーのパリ進出、フレンチギャラリーの事業拡大で高価格帯の作品も登場し、パリへの期待からロンドンでは買い渋りが起きたとも聞く。アジア主要国からのエージェントと彼らが連れる新世代コレクターの姿もある。
ギャラリー数は去年の156とほぼ変わらない154が33ヶ国から参加。うち「メイン」部門にブリュッセルのJan Mot、ニューヨークからP.P.O.W.、Bortolami、ロンドンからも近代美術とセカンダリーのRichard Nagy、メキシコからの初参加画廊Kurimanzuttoが加わり新鮮な印象を残した。また、去年の「エマージング・ギャラリー」部門に参加したパリ拠点のAnne BarraultとEdouard Montassut、ロンドンのCarlos/Ishikawa、上海のAntenna Spaceの4画廊がこのメイン部門にスライド出店。ギャラリーとフェアがともに成長のサポート関係にあると言える。
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Courtesy of Paris+ par Art Basel
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