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2021.5.11

オークションレコード更新か? ダ・ヴィンチのドローイングがクリスティーズで競売へ

イギリス王室コレクションなど以外の個人が所有する8枚のレオナルド・ダ・ヴィンチのドローイングのうちの1枚である《Head of a Bear》が、7月8日にクリスティーズ・ロンドンで開催されるオークションに出品。予想落札価格は800万〜1200万ポンドとなる。

レオナルド・ダ・ヴィンチ Head of a Bear (C) Christie’s 2021

 レオナルド・ダ・ヴィンチのドローイング《Head of a Bear》が、7月8日にクリスティーズ・ロンドンで開催されるオークションに出品される。予想落札価格は800万〜1200万ポンド(約12億〜18億円)と推定されている。

 同作は、イギリス王室コレクションとチャッツワースのデヴォンシャー・コレクション以外の個人が所有する8枚のダ・ヴィンチのドローイングのうちの1枚。熊の頭部を描いたこのドローイングは、大英博物館蔵の2匹の猫と1匹の犬の習作、スコットランド国立美術館蔵の犬の足の習作、メトロポリタン美術館蔵の歩く熊の習作などの作品とつながっており、いずれも1480年代前半の作品と考えられている。

 作品の来歴は、イギリスの画家で莫大なオールドマスター・ドローイングのコレクションを所有していたトーマス・ローレンス卿にまで遡る。1830年にローレンスが亡くなると、同作は彼のディーラーであるサミュエル・ウッドバーンに渡り、1860年にクリスティーズで2.5ポンドで売却。20世紀前半はイギリス人のコレクター、ノーマン・ロバート・コルヴィル大尉のコレクションとなった。

 このドローイングは1937年に初公開されて以来、2011〜12年にロンドン・ナショナル・ギャラリーで開催された「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」をはじめ、ルーヴル・アブダビ、プーシキン美術館、エルミタージュ美術館など世界中の美術館で展示された。

 クリスティーズ・パリのオールドマスターズグループ国際部門責任者であるスティーン・アルステンスは同作について、次のようにコメントしている。「2001年にレオナルド・ダ・ヴィンチのドローイング『馬と騎手』を800万ポンド以上で落札し、現在でもこの画家のドローイングの世界記録を持つクリスティーズは、世界でもっとも偉大な製図家の作品を提供できることを誇りに思っている。7月には、市場に出回る可能性のある最後のドローイングのひとつである『Head of a Bear』で新記録を達成できると確信している」。