日本では23年ぶりとなる回顧展開催で話題となっているピート・モンドリアン(1872〜1944)。そのマスターピースのひとつが、オークションで競売にかけられる。
5月11日にクリスティーズ・ニューヨークで開催される20世紀イブニングセールに出品されるのは、モンドリアンの《Composition:No.II, with Yellow, Red and Blue》(1927)。推定価格は2500万ドル(約27億円)。
モンドリアンは1908年に画家ヤン・トーロップに出会い、象徴主義や神智学に傾倒しつつ、オランダの風景から風車、灯台、砂丘、聖堂などを描き、実験的作品を展開。17年には雑誌『デ・ステイル』(〜28年)の創刊とともに、画家や建築家、詩人らからなるグループ「デ・ステイル」を結成し、「新造形主義」を基本理念に掲げ、水平垂直線と原色の平面による「コンポジション」シリーズを制作し続けた。
1920年代後半に制作された本作は、モンドリアンが純粋な絵画の頂点に達した時期に制作されたものと評価されており、クリスティーズのヴァネッサ・フスコは本作について「ダイナミックな内的エネルギーに満ちており、各線、各面、各色が、絵の中の他の要素との関係によって命を吹き込まれている」としている。
なおクリスティーズは、2015年5月に5060万ドルで落札された《Composition No.III, with Red, Blue, Yellow, and Black》(1929)でモンドリアンのオークションレコードを記録。「コンポジション」シリーズの傑作が同社で出品されるのはそれ以来となる。