2022.6.23

チームラボが初めてセノグラフィーを担当。オペラ『トゥーランドット』の新制作がジュネーヴ大劇場で上演

チームラボが初めてセノグラフィー(舞台美術)を手がけた、ジャコモ・プッチーニの遺作オペラ『トゥーランドット』の新制作が、スイスのジュネーヴ大劇場で上演されている。

チームラボがセノグラフィーを手がけた『トゥーランドット』新制作の公演風景 (C) Magali Dougados, Courtesy Daniel Kramer, Grand Théâtre de Genève, and Pace Gallery
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 イタリアの作曲家、ジャコモ・プッチーニの遺作オペラ『トゥーランドット』。チームラボが初めてオペラの大規模なセノグラフィー(舞台美術)を手がけた同作の新制作が、スイスのジュネーヴ大劇場で世界初上演された。

 6月20日の初演に始まり、7月3日まで7回にわたり上演される同公演では、チームラボが最先端のビジュアル・テクノロジーを駆使し、光の彫刻空間によってオペラ空間を創出。キャストはその空間に没入して一体となり、舞台と観客が境界なく連続する空間が生み出される。

光による立体的な彫刻空間がステージ上に現れる © Magali Dougados, Courtesy Daniel Kramer, Grand Théâtre de Genève, and Pace Gallery

 舞台は回転するふたつの側面によって構成。ひとつはトゥーランドットを頂点とする近未来的なディストピアのゲームショーの世界。女が権力を握るこの世界では、男は女の遊び道具として着飾るか、女の下に監禁される運命にある。トゥーランドットに求婚する男たちは、クイズに参加して負けると、「花」をもぎとられるという。

 ステージが回転すると、もうひとつの側面である、潜在意識の世界が出現する。万華鏡のようなひし形の「心の部屋」は、美しく魅惑的でありながら、巧妙さと欺瞞を連想させる。

万華鏡のような潜在意識の世界 © Magali Dougados, Courtesy Daniel Kramer, Grand Théâtre de Genève, and Pace Gallery

 チームラボは演出のダニエル・クレーマーとともに、5年にわたってプランニングを重ね、コンセプトや新解釈、そして各シーンの視覚的表現について模索してきたという。チームラボ・アーキテクツがステージデザインを担当したセットは、ガラスやアクリル、反射する表面などの素材を用いて制作。光の反射や吸収によって奇妙な空間や視覚的体験がつくりだされ、将来的な日本巡回にも期待したい作品だ。