深刻化する気候変動の危機に対応し、アート業界に特化した取り組みを展開することを目的に、ロンドンを拠点にするギャラリストやアート専門家からなる有志のグループが、非営利団体「Gallery Climate Coalition(ギャラリー気候連合、以下GCC)」を設立した。
このプロジェクトの設立には、リッソン・ギャラリーやサディ・コールスHQ、トーマス・デーン、ケイト・マックギャリーなどのギャラリストに加え、アート専門誌『フリーズ』やテック企業「Artlogic」、アートPR会社「Scott & Co.」、ジャーナリストのルイーザ・バックとデイジー・ガーネット、そして環境コンサルタントのハリス・キューメールが参加している。
10月末に立ち上げられたウェブサイトには、スタッフの旅行や作品の輸送、梱包、エネルギーや建物の管理、リサイクルなど、様々な問題に関する情報やビデオシリーズが掲載。また、それぞれの項目における二酸化炭素排出量の排出を推定する「カーボン計算機」も公開されている。これを使って、誰もが現在のビジネスにおける温室効果ガスの排出量を簡単に把握することができる。
同ウェブサイトには、GCCの目標について次のように記されている。「GCCの目標は、より環境に優しく、より持続可能なアートの世界を促進することです。その目的は、今後10年間(パリ協定に沿って)で二酸化炭素排出量を50パーセント削減するためのガイドラインと必要なリソースを提供し、廃棄物ゼロに近い実践を促進することにあります」。
こうした目標に合意したうえで、誰もがメンバーとしてGCCのプロジェクトに参加することができる。現在は、ハウザー&ワース、ガゴシアン、ギャラリー・タデウス・ロパックなど52のギャラリーや、サラ・ドワイヤー、ライアン・ガンダーなど30組のアーティスト、そして釜山現代美術館やイェール・ ブリティッシュ・アート・センターなど様々な組織や個人が同プロジェクトに参加している。
それらのメンバーに自発的に寄せられた寄付金は、GCCの日々の運営や調査、新しいツールの開発、継続的なイベントの開催などに使われる。今後、気候変動に関連した様々な問題、そしてそれらが社会的・経済的におよぼす影響についての対話や議論も展開される予定となっている。