普段、カラフルな画像であふれるInstagramが、真っ黒に染まった。アメリカ・ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドが白人警官によって殺害された事件は全米各地で抗議デモを巻き起こし、その勢いは増すばかりだ。
そんななか、6月2日の火曜日にはInstagramを中心としたSNSにハッシュタグ「#blackouttuesday」が登場。著名人から一般ユーザーまで、じつに2700万件以上(6月3日現在)の投稿が行われている。
ただ真っ黒な画像をだけを投稿し、抗議デモへの連帯や、人種差別への反対を示すこの運動。アート界も例外ではなく、多くの投稿が見られた。
美術館からは、アメリカを代表するニューヨーク近代美術館やグッゲンハイム美術館、メトロポリタン美術館などのほか、ホイットニー美術館、ニューミュージアム、フィラデルフィア美術館、そしてミネアポリス美術館などが参加。アーティストではKAWS、ダミアン・ハースト、ヴォルフガング・ティルマンス、シンディ・シャーマン、オラファー・エリアソン、村上隆らが、アートメディアではArtforum、artnet、Friezeなどが参加した。
このうち、殺害事件が起こったミネアポリスにあるミネアポリス美術館は、黒い画像とともに同館館長のケイティ・ルーバーの声明を発表。「あなたと同じように、私もジョージ・フロイドの殺害をきっかけに、恐怖と悲しみと怒りに悩まされています」としながら、美術館の姿勢を次のように示している。
「ミネアポリス美術館は体系的な人種差別の不正に取り組んでおり、私たちがいま目の当たりにしているあからさまな不正に抗議し、悲しみとともに前進していくなかで、今後もこの取り組みを続けていくことをお約束します。私たちは、自らの地域社会に奉仕し、自分たちの世界と街をより公正で公平なものにするために、決意を見出さなければなりません。悲しみの言葉では、この出来事の恐ろしさを十分に表現することはできません。私は、ミネアポリスのコミュニティと私たちの広い世界において、自分が特権的な立場にあることを認識しています。この国の有色人種の人々の痛みや生きてきた現実に対処するには、私の言葉には限界があることも知っています。それでも、私はあなたのためにここにいることを知っていてほしい」。