新館長は建築家の青木淳。京都市京セラ美術館(京都市美術館)は2020年3月21日にリニューアル・オープン

2019年度中のリニューアル・オープンのための改修工事が進められている京都市美術館。4月9日に行われた記者発表で、その新たな沿革が紹介された。

リニューアル後の全景イメージ

 1933年の開館から80年以上を経て、今年度にリニューアル・オープンを迎える京都市美術館。2017年には京セラ株式会社と「京都市美術館ネーミングライツに関する契約書」を締結し、その愛称が「京都市京セラ美術館」となることが決定。19年春以降、観光案内標識・道路標識や各種マップ・パンフレット等において「京都市京セラ美術館」が使用されることが明らかになったが、その美術館の現状と方針を発表する記者会見が4月9日、都内で行われた。​

リニューアル後の夜景イメージ

​ 京都市長の門川大作は、京都市立芸術大学や文化庁の移転など、様々な市の変化に触れながら、「新しい文化庁のサテライトのひとつとしての役割も果たしていきたい。令和の時代を越え、50年後、100年後も文化を牽引する美術館になれば」と話す。また建築家の青木淳が新館長に就任したことを発表(4月1日付、任期2年)。

青木淳

 青木は、西澤徹夫設計共同体とともに京都市京セラ美術館の基本設計を手がけているが、その建築家が館長に就任するという流れだ。青木は「私自身、想像していませんでしたし、異例の依頼に戸惑いました。建築家というのは器を構想する者ですが、それでもこの道(館長)を引き受けたのは、この美術館の役割、そして建築が満たすべきものが重なる部分があることに気付かされたからです。ハードの面だけでなくソフトの面も担当することを授かったわけですが、今後とも、どうぞよろしくお願いします」と挨拶を行った。

 そして、美術館建築については、青木自身「完成度が高く、何も手を加えなくてもいいのではないかとさえ思った」と言う美術館建築に「新しいレイヤーを重ねる」ように、現代の展示にも耐えうる、繊細な変化を加えていることを発表した。

「東山キューブ」のイメージ
「東山キューブ」から眺める日本庭園のイメージ

 なお、生まれ変わる美術館の新たな事業概要としては、(1)現代美術を中心に多ジャンルの作品を紹介する「東山キューブ」(2)京都の四季とともに名品と出会える常設コレクション展示室(3)地下1階に新設される「東山キューブテラス」「中央ホール」ほか、七代目小川治兵衛が作庭に関わったとされる「日本庭園」などのくつろぎのスペース(4)ふるさと納税、「美術館友の会」などの支援の輪の拡大(5)MICEの会場としての活用などがある。

 これまで増改築を加えてきた京都市美術館の過去最大のリニューアルとなる今回。来年3月21日のオープンを楽しみに待ちたい。

左から西澤徹夫、門川大作、青木淳

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