版画の可能性を追求した10年間。「現代版画センター」の軌跡をたどる展覧会が開催

埼玉県立近代美術館で「現代版画センター」の活動を振り返る展覧会「版画の景色 現代版画センターの軌跡」が開催される。会期は2018年1月16日〜3月25日。

島州一 ゲバラ 1974 シルクスクリーン、布 現代版画センターエディション42番 ときのわすれもの/有限会社ワタヌキ蔵 ©島州一

 「現代版画センター」は、多くの人々が手にすることができるという版画の特性を活かし、その普及とコレクターの育成を目指して、1974年に誕生。85年まで活動し、その約10年間の活動で、80人に及ぶ美術家と協力しながら700点を超える作品を世に送り出した。版画表現の可能性を追い求めたその活動は、美術界に大きな影響を与えた。

靉嘔 大きな透明な木 1981 シルクスクリーン、紙 現代版画センターエディション ときのわすれもの/有限会社ワタヌキ蔵

 センターで作品を発表した作家は、平面作品を中心に活動する作家だけでなく、彫刻家・工芸家・映像作家・建築家など多ジャンルにわたり、こうしたジャンルを越えた活動は当時では画期的なものだった。また、その活動は版画の制作にとどまらず、多くの美術家や批評家が寄稿した「現代版画センターニュース」や主催の展覧会カタログなどの出版も活発に行なっていた。

 本展では、現代版画センターが制作した作品と資料から、その活動の軌跡をたどる。同時代の美術の一角を牽引したともされるその活動、そしてその時代の熱気を伝えるものとなっている。

関根伸夫 おちるリンゴ 1975 シルクスクリーン、紙 現代版画センターエディション 所蔵:ときのわすれもの/有限会社ワタヌキ蔵

 なお会期中には、センターで多くの作家との共同作業を担った刷師を招いて、トークイベントも開催される。

編集部

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