注目すべきは、北海道立旭川美術館が所蔵する晩年の代表作《神代欅彫文飾棚》(1974)や、北海道博物館所蔵の《樺テーブルセット》など、京都で初めて公開される作品。また、初期の代表作である《螺鈿総貼小棚》(1941)も京都会場限定で展示され、螺鈿技法を駆使し、その初期の創作活動を象徴する一品だ。
また、黒田が生涯に制作したわずか5点の三面鏡のうち、3点が初めて一堂に集結。ほかにも、動的な彫り模様が特徴的な流稜文の手箱や、1968年に新宮殿の「千鳥の間」「千草の間」用に製作された《朱溜栗小椅子》と《朱溜栗小卓子》も、試作品を含めて展示される。
黒田の貴重な作品が一堂に会し、その生涯を通じた創作の軌跡を深く理解する機会を提供する本展。ぜひ、黒田が築いた独自の美の世界を会場で堪能してほしい。
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