10月18日より、フランスでは24年ぶりのマーク・ロスコ(1903〜1970)の回顧展がフォンダシオン ルイ・ヴィトンで開催される。
1999年にパリ市立近代美術館で開催されたロスコ展以来の回顧展となる本展では、ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリー、アーティストの遺族、ロンドンのテート・ギャラリーなど、国際的な美術館や個人コレクションから約115点の作品が一堂に紹介。フォンダシオンの全スペースで年代順に展示される作品群には、初期の具象絵画から今日もっとも広く知られる抽象画まで、マーク・ロスコの全キャリアにわたる制作が含まれている。
本展は、1930年代の作品の大半を占める日常のシーンや、ニューヨークの地下鉄のような都市風景から始まり、その後、古代神話やシュルレアリスムにインスピレーションを受けた作風へと転換し、また戦時中の悲劇的な人間像を表現した作品へと展開される。
1946年以降、ロスコは抽象表現主義への重要な転換を遂げていき、色彩的な塊をキャンバス上で一種の平衡状態のなかで浮遊している多形態で描くようになる。50年代には、その絵画の空間構成が黄、赤、黄土、オレンジ、そして 青、白......といった色合いを特徴とする、二分割構成や三分割構成のリズムに従って長方形の形が重なり合うようになる。
1958年、ロスコはニューヨークの「フォー・シーズンズ・レストラン」の壁画制作の依頼を受けた。しかし作品完成後、ロスコは絵画を引き渡さず、このシリーズをすべて手元に残すことを決めた。11年後の69年、このシリーズのうち9点がロンドンのテート・ギャラリーに寄贈され、テートはコレクションの一室をこれらの作品展示のために特別につくり、この展示室も「ロスコ・ルーム」として知られている。本展では、テート所蔵のこのシリーズ全9点も特別に展示される。
また、1960年にワシントンD.C.のフィリップス・コレクションがロスコと密接にコラボレーションして設計した世界初の「ロスコ・ルーム」の作品4点も本展で紹介される。
なお、ロスコの晩年の作品は、アルベルト・ジャコメッティの大きな彫刻作品とともにフランク・ゲーリー建築の一番天井の高い展示室でも紹介。ロスコの問いかけの永続性、彼の鑑賞者との言葉なき対話への欲求、そして「色彩主義者」として見られることへの拒絶をぜひ会場で確かめてほしい。