江戸時代から現在まで、400年以上にわたって東京で生まれた様々な美術作品にフォーカスした展覧会「Tokyo:Art & Photography」が、7月29日にイギリス・オックスフォードにあるアシュモレアン博物館で開幕した。
本展では、同館および日本国内のコレクションからの絵画や屏風、木版画、映像、写真などの作品に加え、現代アーティストによる新たなコミッション作品などを展示。破壊と再生を繰り返してきた都市・東京に目を向け、新しいものや革新的なものへの飽くなき探究心で東京を世界でもっとも重要な文化的ホットスポットのひとつへと発展させたアーティストたちの物語を紹介する。
江戸の名所が描かれた歌川広重の「名所江戸百景」シリーズ(1856-59)をはじめ、1855年の安政江戸地震や1923年の関東大震災のあとに制作された様々な版画作品、戦後の東京の荒廃した現実を記録した木村伊兵衛や林忠彦の写真、都市に住む人々の生活をとらえる細江英公や内藤正敏らによる表現力豊かな写真、そして日記のような個人的な視点で東京を表現する蜷川実花の「東京」シリーズ(2018-19)など、時代を超えた作品を通じて小さな漁村から21世紀の巨大都市へと発展していく東京の姿に迫る。
本展では、東京の芸能・性文化にも注目。美人画や春画など男性画家による女性の性を描写する作品のほか、ラブホテルに通う様々な女性に自分を重ね合わせた写真家・東京るまん℃のセルフポートレートシリーズ「Rest 3000~ Stay 5000~」(2012)や、ラブホテルの現象を、その幻想的なインテリアデザインに焦点を当てて探求する都築響一の「Satellite of Love」シリーズ(2001)なども紹介されている。
また、東京を世界有数の前衛芸術の中心地としてとらえ、歌川国芳がヨーロッパから伝来されたプルシアンブルーの顔料を使った作品や、前衛芸術グループ「ハイレッド・センター」の活動を記録した平田実の写真、芸術運動「スーパーフラット」をスタートさせた村上隆の絵画、そして会田誠やChim↑Pomが日本社会の問題を挑発的に表現する作品なども本展に集結した。
同館館長のアレクサンダー・スタージスは、東京は「激動の歴史を持ち、非常に豊かで多様な芸術作品を生み出してきた」としつつ、「本展では、17世紀から2021年までに制作された作品や、日本から貸与された貴重な作品など、世界でもっとも興味深い都市のひとつである東京について、スリリングで珍しい洞察を得ることができるだろう」とコメントしている。