電線・電柱の絵画展から震災の記録展示まで。今週末に見たい展覧会ベスト3

今週始まった、もしくは始まる展覧会から、とくに注目したい3つをピックアップしてお届け。なお緊急事態宣言のため、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「特別企画『震災と未来』展 -東日本大震災10年-」(日本科学未来館)展示風景より、NHK東日本大震災アーカイブス「地震発生から72時間」

電線と電柱の絵画で東京の近代をたどる。「電線絵画展 -小林清親から山口晃まで」(練馬区立美術館)

展示風景より、岸田劉生《代々木附近(代々木附近の赤土風景)》(1915)

 明治初期から現代にいたるまでの電線・電柱が果たした役割と、各時代ごとに絵画化された作品の意図を検証し、近代都市・東京を新たに読み解く展覧会「電線絵画展 -小林清親から山口晃まで」。

 明治時代の錦絵から現代美術にいたるまで、130点以上の作品による12章構成で、電線・電柱と近代の関係をたどる。日本最初の電信柱・電信線を描いた樋畑翁輔のスケッチ《ペリー献上電信機実験当時の写生画》(1854)からはじまり、電信柱が文明の象徴として誇らしげに描かれた小林清親の錦絵、電柱を重要なモチーフとして描いた岸田劉生の油彩画、川瀬巴水や吉田博が電柱をどのようにとらえ新版画に落とし込んだのかなど、様々な視点が示される。

 現在は街の美観のために地中化が望まれる電柱や電線だが、歴史を見れば東京という都市の近代化に大きな役割を果たしてきた。電柱や電線をとらえた作品を一堂に集めることで、そのモチーフとしてのおもしろさのみならず、作家たちがいかに時代と対峙したのかもうかがい知ることができる展覧会となっている。

会期:2021年2月28日~4月18日
会場:練馬区立美術館
住所:東京都練馬区貫井1-36-16
電話番号:03-3577-1821
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館30分前まで
休館日:月
料金:一般 1000円 / 高大生および65~74歳 800円 / 中学生以下および75歳以上 無料

映像と資料で震災を考える。特別企画「震災と未来」展 -東日本大震災10年-(日本科学未来館)

「特別企画『震災と未来』展 -東日本大震災10年-」(日本科学未来館)展示風景より、東日本大震災復興支援「失われた街」模型復元プロジェクト

 日本科学未来館は、東日本大震災から10年の節目に特別企画「『震災と未来』展 -東日本大震災10年-」を開催。「震災の記憶」「その後の人々が生んだ絆」「未来への課題」の3つをテーマに掲げ、震災の教訓をいま、そして未来へ伝える。

 会場は、地震発生から72時間に放送されたNHKのニュース映像や、「東日本大震災復興支援『失われた街』模型復元プロジェクト」の取り組みを紹介する「ZONE1:東日本大震災をNHKアーカイブスで振り返る」、社会の出来事を交えながら、東北の10年の復興の歩みを「復興タイムトンネル」などでたどる「ZONE2:あの日 そして明日へ…復興10年のあゆみ」、災害時に迫られる様々な「選択」を体験する仮想空間や、飛沫感染防止用のテントなど、災害に備える展示「ZONE3:あなたと未来を考える」の3つのゾーンで構成される。

  NHKがこれまで記録・蓄積してきた映像や資料、国内外からの様々な支援にまつわるストーリーをもった品々の展示を通じ、復興への取り組みと課題、また今後の災害に対する備えをともに考えたい。

会期:2021年3月6日~3月28日
会場:日本科学未来館
住所:東京都江東区青海2-3-6
電話:03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~17:00(入場は閉館30分前まで)※最新情報は展覧会公式サイトにて要確認
休館日:3月9日、3月16日
観覧料:無料(ただし、事前予約制。展覧会公式サイトより予約)

気鋭の若手アーティスト43組が出品。「ARTISTS' FAIR KYOTO」(京都文化博物館 別館、京都新聞ビル)

京都新聞ビル地下1階の会場風景より 撮影=高橋保世

 京都を舞台に開催される現代美術のアートフェア「ARTISTS' FAIR KYOTO」。4回目となる今年は「Singularity of Art」をテーマに、ペインティングからテクノロジーを駆使したインスタレーションまで、多種多様な表現手法の作品を展示・販売する。

 本フェアの特徴は、従来のアートフェアの枠組みを超えて、来場者とアーティストとのコミュニケーションでつくられること。ディレクターに椿昇、若手アーティストを推薦するアーティスト「アドバイザリーボード」には名和晃平、塩田千春、加藤泉らが参加し、アドバイザリーボードと公募で選出された気鋭の若手アーティスト43組が出品する。

 会場は、重要文化財に指定される京都文化博物館 別館と、輪転機のインクの跡や匂いの残る京都新聞ビル 地下1階の2ヶ所。京都の街中では「ARTISTSʼ FAIR KYOTO」と連動してサテライトイベントが展開され、本フェアの過去の出品作家らの展示がデパートや宿泊施設、飲食店で行われる。

 また今年は新たな試みとして、若手アーティストの活動を支援する「ARTISTS' FAIR KYOTO 2021 Akatsuki ART AWARD」を実施。審査委員はディレクターの椿昇と、飯田志保子(キュレーター)、中井康之(国立国際美術館研究員)、山峰潤也(般財団法人東京アートアクセラレーション共同代表/ANB Tokyoディレクター)を招聘する。

会期:2021年3月6日~3月7日
会場:京都府京都文化博物館 別館/京都新聞ビル 地下1階
住所:京都府京都市中京区三条高倉
電話:075-414-4222(ARTISTSʼ FAIR KYOTO実行委員会)
開館時間:10:00~18:00 ※最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
観覧料:一般 1800円 / 学生 1000円(学生無料、要・学生証)※チケットは事前予約制にて販売。京都新聞ビル 地下1階は無料。詳細は公式ウェブサイト

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