吉田博展から「DOMANI・明日展 2021」まで。今週末に見たい展覧会ベスト3

今週スタートした展覧会から、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。なお緊急事態宣言のため、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「没後70年 吉田博展」展示風景より、左が吉田博《帆船 朝》(1926、「瀬戸内海集」より)

吉田博の制作全貌を総覧。「没後70年 吉田博展」(東京都美術館

 明治から昭和にかけて、風景画を中心に活躍した吉田博(1876~1950)。その没後70年を記念し、吉田の木版画を200点近い作品やスケッチとともに紹介する大規模個展「没後70年 吉田博展」が東京・上野の東京都美術館でスタートした。

展示風景より、吉田博《山中湖》(1929)

 本展では、初期から晩年にいたるまでの吉田の木版画を一堂に集め、西洋の写実的技法と日本の伝統的な版画技法の統合を目指したその全貌を紹介。会場は、吉田が木版画の制作を手がけ始めた1920年代から、最後の木版画を制作した太平洋戦争集結直後の晩年にいたるまでを、時系列で追った11章で構成されている。

 アメリカ、上海、香港、シンガポール、ラングーン(ヤンゴン)など世界各国を旅し、雄大な自然や都市の情景をとらえた吉田の木版画。その独創性や飽くなき探究によって生まれた色彩表現の全容を総覧できる展覧会だ。

会期:2021年1月26日~3月28日
会場:東京都美術館
住所:東京都台東区上野公園8-36
電話番号:03−5777-8600
開館時間:9:30〜17:30
休館日:月

 

構成主義の変容をポスターでたどる。「20世紀のポスター[図像と文字の風景]―ビジュアルコミュニケーションは可能か?」(東京都庭園美術館

 1910~20年代のヨーロッパで生まれ、芸術・デザインに革新をもたらした芸術運動「構成主義」。株式会社竹尾のポスターコレクションから「構成主義」のポスターを厳選して一堂に公開する展覧会「20世紀のポスター[図像と文字の風景]―ビジュアルコミュニケーションは可能か?」が、東京都庭園美術館で始まった。

「20世紀のポスター[図像と文字の風景]―ビジュアルコミュニケーションは可能か?」展示風景より

 図像と文字を幾何学的・抽象的な融和のもとに構成しようとすることが特徴的な構成主義の表現様式は、時代を超えて数々のアーティスト/デザイナーによって共有されてきた。広くビジュアルデザインの可能性を拡張する試みとして発展を重ね、今日のビジュアルデザインの基盤をなす。

 本展は、戦後のビジュアルコミュニケーションのあり方を導く歴史的役割を果たした、スイス派やウルム派のポスターを展示する「図像と文字の幾何学」、第二次世界大戦以前のロシア構成主義、バウハウス、ニュータイポグラフィに注目する「歴史的ダイナミズム」、1970年代以降に登場したニュー・ウェイヴ、ポストモダンデザインと称される潮流を見る「コミュニケーションのありか」の3章構成。構成的なポスターが遂げた発展と変容、そして継承のプロセスを作品130点によってたどる。

会期:2021年1月30日~4月11日
会場:東京都庭園美術館
住所:東京都港区白金台5-21-9
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00
休館日:2月10日、2月24日、3月10日、3月24日、4月5日 ※ 4月以降毎週月曜休館
料金:一般 1100円 / 大学生(専修・各種専門学校を含む) 880円 / 65歳以上・中高生 550円

 

空間/時間の余白からいまを考え直す。「DOMANI・明日展 2021」(国立新美術館

 国立新美術館で毎年1月に開催され、文化庁による新進芸術家海外研修制度の成果を発表してきた「DOMANI・明日展」が23回目を迎えた。

展示風景より

 今回のサブタイトルは「スペースが生まれる」。東日本大震災から10年を目前に、いまだ記憶に深い被災によって生じた空間/景観の余白と、コロナ禍の「stay home」で体験した時間的余白の経験から、私たちが本当に大事なものを考え直し、次代への扉を開く時期を迎えているとの願いが込められている企画だ。

 今年は、過去10年間に各国で研修経験を持った新進作家から大田黒衣美、利部志穂、笹川治子、髙木大地、新里明士、春木麻衣子、山本篤の7人が参加。また、それ以前に海外研修を経て、現在アートシーンの最前線で活躍する竹村京、鬼頭健吾、袴田京太朗の3人も作品を発表する。

会期:2021年1月30日~3月7日
会場:国立新美術館 企画展示室2E
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00~18:00(入場は閉館30分前まで)
休館日:火(2月23日は開館)、2月24日
料金:一般 1000円 / 大学生 500円 / 高校生・18歳未満無料

編集部

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