合同会社カオスラ監修のもと「ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校」として開設されながらも、主任講師だった黒瀬陽平のハラスメントに伴う退任により、体制を一新して始動した「ゲンロン新芸術校」。同校の第6期生のうち、通常課程6名の作家と、コレクティブ・リーダー課程で学んでいるキュレーター2名が協働してつくりあげるグループAの展覧会「かむかふかむかふかむかふかむかふ」展が、ゲンロン五反田アトリエで開催されている。会期は9月20日まで。
同展に参加する作家は川﨑豊、圡金、堀江理人、松岡湧紀、宮野かおり、宮野祐。キュレーションは金子弘幸と中村馨が担当する。
展覧会タイトルにある「かむかふ」は、批評家の小林秀雄が「考える」ということについて、本居宣長の論を敷衍するかたちで述べた『学生との対話』を下敷きとしている。小林は同書のなかで「考える」の古いかたちの言葉「かむかふ」に注目し、「か」は特別に意味のない言葉、「む」は自分の身、「かふ」は「交わる」であることから、「考える」というこ とは、対象と私とがある親密な関係へ入り込むということだと解釈している。
キュレーションを担当する中村馨は「作品制作とはこのフィジカルな『かむかふ』の実践ではないか」と問いを立てたうえで、以下のようにステートメントを記している。「本展の作家は共通して、似ているようでいて異なる他者や信条、価値観等、緩くつながりながらも、わかりあおう、ひとつになろうとしてもどうしてかそれの叶わぬ対象をテーマとしている。作品を媒介に、対象との、身をもった交わりを試みているのだ」。
本展は、新芸術校6期生による4つのグループ展の最初のもの。今後、12月まで毎月1グループの展示が予定されている。