2019.11.5

一貫して風景を描き続ける画家・津上みゆきの個展がANOMALYで開催。6メートルにもおよぶ大作も

「View」と冠した独自の風景画を描き続ける画家・津上みゆき。その個展「そこに在るのは些細なこと」が、東京・天王洲のANOMALYで開催される。会期は11月22日~12月21日。

津上みゆき View, a cherry tree, spring 2019 (C)Miyuki Tsugami Courtesy of ANOMALY
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 一貫して「View」と冠した風景画を描き続ける画家の津上みゆき。眺めや風景、光景だけではなく、ものの見方や考え方といった意味も持つこの言葉を軸に、絵画における視座を広げてきた。今回、その個展「そこに在るのは些細なこと」が、東京・天王洲のANOMALYで開催される。会期は11月22日~12月21日。

 津上は1973年東京生まれ。98年に京都造形芸術大学大学院芸術研究科を修了。2005年には、大原美術館によるアーティスト・レジデンス・プログラム「ARKO」第1回の招聘作家として岡山県倉敷市で滞在制作を行った。通電設備がなく自然光のみで仕事を続けたこの倉敷滞在を機に、日々のスケッチが津上の日常になったという。

 近年は、18年度に朝日新聞紙面で連載された朝井まかてによる小説『グッドバイ』の挿画制作をきっかけに、長崎に取材した連作を手がけた津上。史実に基づいた同著の挿画のため、1年にわたって定期的に舞台である長崎に赴き描く機会は、津上にとって自身の風景画の取り組みを再考するかたちとなったという。19年は、同シリーズの原画全54点を発表した長崎県美術館での個展のほか、神奈川県立近代美術館、群馬県立館林美術館、台北市立美術館でのグループ展など発表の機会を重ねている。

 長崎県美術館で発表した6メートルにおよぶ大作《View, the passage of time, Nakashimagawa River, 1:10pm 8 Oct 18/2019》は、江戸時代より続く大祭「長崎くんち」の取材をもとに描かれたもの。街の賑わいや人々の躍動感に、その土地の文化として長く根付いてきた時間が重ねられている。本展では、同作のほか新作を加えた約20点を展示。たゆたう時間のなかで人々と同じように変化し続ける風景を見つめ、絵画へと昇華させる津上の仕事から、一つの視座を見つけたい。

津上みゆき View, the passage of time, Nakashimagawa River, 1:10pm 8 Oct 18/2019 2019
©︎ Miyuki Tsugami Courtesy of ANOMALY