言葉やイメージに聞き取る「時の声」とは? 国谷隆志と三宅砂織の2人展が京都・絆屋ビルヂングで開催中

オブジェや彫刻によるインスタレーションで知られる国谷隆志と、リトグラフやフォトグラムを用いた作品を手がける三宅砂織による2人展「The Voices of Time」が、京都・絆屋ビルヂングで開催中。会期は9月8日まで。

国谷隆志 Untitled (NEVER LAND) 2018

 国谷隆志は1974年生まれ、97年成安造形大学立体造形クラス卒業。ネオンなどを用いたオブジェや彫刻によるインスタレーションで、鑑賞者の身体感覚に働きかける作品を手がける。近年の主な展覧会に「Spaceless Space」(Ulterior Gallery、ニューヨーク、2018)、「Something Red」(京都芸術センター、2018)など。

 三宅砂織は75年⽣まれ、2000年京都市⽴芸術⼤学⼤学院美術研究科修了。既存のイメージを出発点に、絵画と写真の生成過程を交配させるようなフォトグラム作品を中心に制作してきた。10年にVOCA賞を受賞。主な展覧会に「DOMANI・明⽇展」(国立新美術館、2018)、「ArtMeets04 ⽥幡浩⼀/三宅砂織」(アーツ前橋、2017)などがある。

三宅砂織 Garden (Potsdam) 2019

 この2人による展覧会「The Voices of Time」が、京都・絆屋ビルヂングで開催中だ。会期は9月8日まで。

 本展で国谷は、近年制作を続けるネオンサインのシリーズから新作を発表。ある特定の文脈から選んだ一見して関連のない言葉を台座の上に伏せて置くことで、言葉の意味を機能させると同時に、それを無効化する物質的な光のかたちを浮かび上がらせる。

国谷隆志 Untitled (Stele I) 2015 アルベルト・ジャコメッティ《Stele I》(兵庫県立美術館蔵)と併置したインスタレーション

 いっぽう三宅は、ベルリン・オリンピックと敗戦をまたいだある個人の追想、個人と歴史の眼差しの変化・交差を示す写真を起点に、その写真が撮影されたポツダムの地を散策することで制作した映像作品《Garden(Potsdam)》をブラウン管テレビを用いて展示する。

 ネオンサインやブラウン管を介する、反転した視点を用いた作品が並ぶ本展。情報によってあらゆるものが先取りされる時代に、奥行きを持って存在する言葉やイメージを体験する展示空間となることだろう。

編集部

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