ハンセン病に関する知識の普及や理解の促進、偏見や差別、排除の解消に努めるため1993年にオープンした国立ハンセン病資料館(2007年、高松宮記念ハンセン病資料館から国立ハンセン病資料館へと改称)。
この資料館で、療養所内で極度に制約された人生を強いられながら、絵画制作に生きがいを見つけた10名による作品展が開催される。
全国のハンセン病療養所には、絵筆を持ってキャンバスに向き合った入所者が存在し、戦後、いくつかの療養所では絵画サークルが誕生。ハンセン病療養所における文化活動の重要な一角を占めている。
こうした絵画サークルの大半は活動が一時的、あるいは作者の没後に作品が処分され、その全貌をたどることは困難だが、熊本県の菊池恵楓園(きくちけいふうえん)の絵画クラブ「金陽会」は、1953年の発足以来、10人~20人の入所者が活発に活動を続け、850点もの絵画作品が残されている。
本展では、多種多様な作品を生み出し続けてきた金陽会の、代表的な10人の作家による作品を展示。これまで各地で行われた金陽会の作品展だが、東京での開催は初となる。
病気、障害、療養所の制度などにより、生活全般が大幅に制約された境遇のなかで生み出された作品。そこから何が見えてくるだろうか。