2019.1.18

「彫刻」の正体を探る東アジアの旅。黒田大祐が個展「ハイパーゴースト・スカルプチャー」で新作を発表

美術家・黒田大祐の個展「ハイパーゴースト・スカルプチャー」が、東京・馬喰町のKanzan Galleryで開催される。本展では、彫刻家・建畠大夢の周辺と建畠の教え子たちへのリサーチをもとに制作したという映像作品を展示。黒田が、日本、中国、韓国、台湾といった東アジアを巡り、インタビューなどを行い、東アジアに横たわる「彫刻」概念の様相と彫刻教育について迫ったリサーチベースの展覧会だ。会期は1月18日〜2月17日。

黒田大祐 ハイパーゴースト・スカルプチャー 2019
前へ
次へ

 黒田大祐は1982年京都府生まれの美術家。2013年に広島市立大学大学院芸術学研究科総合造形芸術専攻(彫刻領域)を修了した。その後、現在も広島を拠点に活動を行っている。

 近年、「透明な風景」(札幌国際芸術祭SIAFラボプロジェクトルーム、札幌、2016)、「不在の彫刻史」(トーキョーアーツアンドスペース本郷、東京、2017)、 「アイスアメリカーノ」(仁川アートプラットホーム、韓国・仁川、2017)など、精力的に個展を開催してきた黒田。加えて「対馬アートファンタジア」「瀬戸内国際芸術祭」といった芸術祭や、国内外でのグループ展にも参加し、注目を集めてきた。 

 今回、東京・馬喰町のKanzan Galleryで開催される個展「ハイパーゴースト・スカルプチャー」では、彫刻家・建畠大夢(たてはた・たいむ、1880~1942)の周辺と、建畠の教え子たちへのリサーチをもとに制作した映像作品を発表。

黒田大祐 カルマ 2019

 国会議事堂の中に鎮座する伊藤博文像は、1938年に建畠が手がけた作品である。また、韓国・仁川にあるマッカーサー像は建畠の教え子たちによって制作された作品、そして朝鮮戦争後の北朝鮮でかたどられた金日成像やスターリン像も、建畠の教え子やその周辺が手がけたものだという。

 黒田は、この事実を知った際に得た妙な感覚から出発し、建畠が東京美術学校で教鞭を取っていた時代とその教え子たちが「何を‘彫刻’と考え、どう生きたのか」を調査。本展は、黒田が日本、中国、韓国、台湾といった東アジアを巡り、インタビューなどを行い、東アジアに横たわる「彫刻」概念の様相と彫刻教育について迫ったリサーチベースの展覧会だ。

 Kanzan Curatorial Exchange「尺度の詩学」シリーズの第3弾となる本展。Kanzan Galleryでの作品発表とあわせて、同ギャラリーと近距離の3331 Arts Chiyodaにサテライト会場を設け、今回のリサーチを重点的に紹介する「不在の彫刻史2」も同時開催される。